ゴールドフラップが凄いのは、実験性を一切失わないままメインストリームを突き抜けていくところだと思う。というのも、このデュオはアルバムごとに音楽性をがらりと変え、しかも、ケイト・ブッシュの遺伝子を受け継いだ独特の奇妙にねじれた感覚をみせながらチャートを席巻していくからだ。難解なフォークの
『Felt Montain』でデビュー、硬質なエレクトロに転向した『Black
Cherry』、よりダンサブルになった『Supernature』、そしてフォークに立ち返りながら明快なメロディを奏でた『Seventh
Tree』とアプローチは毎回大きく変わっている。そして、5枚目となるこの『Head
First』で鳴らしたのは80's風シンセ・ポップで、これまでで最もわかりやすく、グリッターな内容だ。だが、今回はアバを思わせる複雑なコーラス
ワークを使ったり、ジョルジオ・モロダー風のファンキーなディスコのビートを取り入れたりと一筋縄ではいかない。特に、アルバム最後に収録されている
「Voicething」なんて、ほぼ声だけでリスナーをトリップさせるような不思議さを宿しているエクスペリメンタルな曲で、決してポップなだけの作品で終わらせないとの意思を示しているようだ。確かに、かつてのエロディックでミステリアスな魅力は薄れたかもしれない。だが、万人に開かれたプロダクショ
ンのあちこちに仕掛けを施した出来に、アリソン・ゴールドフラップは高笑いしているんじゃないだろうか。
