ゴリラズ『プラスティック・ビーチ』(Parlophone / EMI) [reviews]

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 ゴリラズの3rdアルバム『Plastic Beach』の登場だ。ここまで来れば、ボビー・ウーマックからマーク・E・スミス(!)まで、前作以上に豪華(でマニアック)なゲストが参加したことにも妙に納得。

 かつてポール・ウェラーがジャムを解散させてスタイル・カウンシルを始めたとき、そこで刷新されたのは楽曲のコンセプトはもちろん、バンド時代では表現しきれなかったグルーヴだった。僕はデーモンがGorillazを始めたことに同じような印象を持った。ドラマー(&ベーシスト)不在なんて気にしないで、色々なやり方でダンスする感じ。だからゴリラズの1st、2ndで音作りの軸になっていたのは、それぞれのアルバムに参加したトラック・メーカーだったと思う。

『Plastic Beach』には、ダン・ジ・オートメーターやデンジャー・マウスのようなトラック・メーカーがいない。でも、冒険心が失われたわけではない。ヒップ・ホップ、ファンク、エレクトロなど相変わらずバリエーション豊かなアプローチは、今まで以上にポップでわかりやすい。コンセプトが統一されているから、アルバム全体にメリハリがあって聞きやすい。

 1st、2ndは、デーモンがミュージシャンとしてグルーヴを追求する実験作だったのかもしれない。この『Plastic Beach』は、ストーリーテリング、ソングライティング、ビジュアル表現までを含めたデーモンのプロデューサーとしての才能が際立っている。映画を見たり、小説を読むとき、僕たちのアタマの中には制作者の顔なんて浮かばない。そのストーリーを存分に楽しむだけだ。『Plastic Beach』でも同じことが体験できる。

 ミュージシャンが、あくまでも「楽曲」の中で自己表現を追い続けるのは当然のこと。でも、デーモンは歌が生み出すイメージさえも大衆化しようとしている。実験(=グルーヴ)と引き換えに、今まで以上の大衆性(=ポップ)を手に入れた。個人的には、ダブっぽさがなくなったのはちょっと残念だけど。

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このページは、伊藤英嗣が2010年4月30日 02:49に書いたブログ記事です。

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