絵鳩新

top10_絵鳩_Dylan.jpg
BOB DYLAN『Modern Times』(2006)*画像
RADIOHEAD『In Rainbows』(2007)
THE STROKES『Is This It』(2001)
WILCO『Yankee Hotel Foxtrot』(2002)
BATTLES『Mirrored』(2007)
U2『All That You Can`t Leave Behind』(2000)
SIGUR ROS『Agaetis Byrjun』(2001)
THE LIBERTINES『Up The Bracket』(2002)
BON IVER『For Emma, Forever Ago』(2008)
LCD SOUNDSYSTEM『Sound Of Silver』(2007)

 とてもパーソナルな00年代を振り返った10枚のアルバムだと思う。それにしても年間ベストですら頭を抱え、どれにしようかと悶々と考え込んでしまうのにそれを10年間の10枚なんて改めて難題すぎる(笑)。こういうベスト等を選ぶのが好きな自分にとって嬉しい反面、苦悩を抱えることになる。実際リストアップした10枚から泣く泣く外したアルバムも何枚もある。それを文中に出しながら00年代を振り返りたい。本当に素晴らしい音楽だから優柔不断でも良いのだと自分に言い聞かせながら!

 約半分は既に10年、20年も前に確立された確固たるアーティストの00年代に出した傑作、もう半分は00年代に現れたアーティストの1stアルバムという感じに分かれた(LCDは2nd、シガーロスも正確には2ndだが...)。

 始まりはレディオヘッドの衝撃的な『Kid A』で、感情も温度も無い閉塞の幕開けだったと『Kid A』を選出していたら書いていたかもしれないがレディオヘッドは制御できなくなったバンドを『In Rainbows』で10年間の自らが推し進めすぎた船を終着点に見事に行き着かせた所にとても感動した。それも誰もが先陣をそろそろ切るだろうという予想をレディオヘッドが受け、新譜のダウンロードをいくら払うか?というこれからの時代を見通した問題定義をリスナーにぶつけた。これにはナイン・インチ・ネイルズなども続いていき、新曲のダウンロードはスタンダードなものとなっていった。『In Rainbows』にしたのなら00年の幕開けはU2の『All That You Can't Leave Behind』にしたいと思った。ここで歌われた希望や訴えの音楽は00年代の後半以降に継がれていった。それを代表としてならU2が自身のSEに使った事で更に認知度が上がったアーケイド・ファイアの『Funeral』は入れたかったがここでU2を入れたならと...。何よりU2のロック回帰が嬉しかった。911以降の元来Rockが持つ"反体制"や"怒り"を音と言葉に込め、シリアスに届けてくれたシステム・オブ・ア・ダウンやM.I.A.にも興奮させられた。

 LCDの「Someone Great」は衝撃的だったし、ポスト・ロックという曖昧なジャンル名を無意味にするシガー・ロスという唯一無二の存在が凄かった。言葉なんて解らなくても自分含め誰もがシガーロスの紡ぎ出す美しい世界に呑まれたに違いない。バトルスも声をパーツに正確無比な世界を構築させ体にビートを叩きつけてくれた。00年代に入ってもワープ・レーベルは低迷期というのを知らずロックや様々な新たなクラブ・ミュージックに手を伸ばし北米インディー全盛の一役を担っているグリズリー・ベアやリチャード・D・ジェイムスの次の奇才フライング・ロータスなど代表にこれからも未知な音楽が楽しみだ。00年後半はピッチフォークの繁栄を示すとおりUSインディーがとにかく最高だった! これは誰もが同意すると思う。サイケ、ノイズ、シューゲイザー、エクスペリメンタルな要素を取り込んだバンドが取り分け人気を誇る中、オーソドックスなルーツを重点においたウィルコとボン・イヴェールを選んだ。普遍的で寄り添ってくれるような両者の奏でる音は安らげる場所としてこれからもずっと聴き続ける名盤。最大のムーブメントだったといえるガレージ・ロック・リバイバルの渦中の中心に居たザ・ストロークスは文句無しにカッコイイ!と憧れる理想のバンド。3rdがリアルタイムで追いついて発売日に初聴し、今一ピンとこなかった。後日、『Is This It?』を聴いて皆が騒いでいる理由が解った!と嬉しかった(笑)。

 旧譜を聴き漁り探求していた高校生の自分に同時代を感じられるアークティック・モンキーズの登場はセンセーショナルでハマリこんだが、この10枚ではパンクで危険な匂いを放つザ・リバティーンズの方が魅力的だったのでこちらに。ピートとカールという映画の主人公のような強すぎる個性と二人のドラマには熱狂させられたし、自分もバンドをやりてぇ! と夢を見させてくれる地でいくロック・スターだった。今年のレディングでの再結成が非常に楽しみ。

 ボブ・ディランはそんな全ての流れや喧騒から完璧に断絶された場所で独りブルーズを唄っていた。この『Modern Times』は60、70年代のディランの傑作アルバムと並べても何ら遜色ない完成度。ただひたすら感動した。こんなに重みのある言葉を圧倒的な説得力でもって囁くように唱えるように唄うディランに感服。初めて生で見れた先月の来日公演は常套句しか使えないが一生記憶に残る素晴らしいライヴだった。

 インターネットが主流になった今では情報が早すぎてメディアは今まで以上にシングルやEPからガンガンプッシュし、1stアルバムや2ndアルバムで真価を発揮出来ない遅咲きのバンドや成長過程のバンドは光が当たらなくなってしまう傾向があるので常にアンテナを張り巡らしていきたいと思う。「あのバンドは2ndダメだったから終わりだよ」なんて言われる時代なんだから恐ろしすぎる。

 メジャーもインディーも言語もメソッドもハイファイもローファイも垣根が完全に払拭された感すらもある00年代が終わり、新たに始まったこれからの10年間ではどんな音楽に出逢えるか楽しみだ。

retweet

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 絵鳩新

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://cookiescene.jp/mt/mt-tb.cgi/1187