スロウダイヴ『ザ・シャイニング・ブリーズ』(Cherry Red / Diffuse Echo) [reviews]

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 マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、チャプターハウスが再結成に沸くなか、当時のシーンのなかで後続(特にエレクトロ方面)に与えた影響、という意味では恐らく最も大きいスロウダイヴの編集盤。コクトー・ツインズから耽美さを薄め輪郭を曖昧にして、幻想を生み出す1st『Just For A Day』、メロディが際立ち甘美さが増した2nd『Soulvaki』、エレクトロ方面に大幅に移行した3rd『Pygmalion』、そしてシングル3枚、EP2枚から。
 
 音源を振り返り感じさせられることがある。乱暴に言うと、バンド・サウンドでいうところの、彼らの音楽に影響を受けたシガー・ロスを筆頭とする(シガー・ロスを筆頭としてしまうのも語弊があるが、あくまで音の感じとして...)いわゆる音響系とも呼ばれたバンド群は、"荘厳さ"を伴ったり、"壮大さ"を纏ってい る印象がある。洗練されたイメージ。
 
 しかし実は彼らは違う。ぜひ初期のシングル3枚、そして前述の『Just For A Day』のジャケットを見て欲しい。まさにそんなイメージ。霧で覆われた洞窟から抜け出せないでいる音。現実と幻のあいだにあるような、まるで三途の川で流れているかの感覚は、1曲目から最後まで一貫しているといえる。そんな世界を覗きたくて、この音源に手を伸ばす。浸る、というより、覗く、漂う。
 
 90'sオリジナル・シューゲイザーの再評価がされて久しいが(90年代後半から2000年前後にはどのCDライナーノーツを見ても、そんな言葉は死語として避けられるか、否定的な文脈で語られていたように思える)、当時の市場の規模は小さく、普遍的に語られるべきバンドなんて実際ほんの一握りだと思っている。そんななかでも、現在のシーンを考えても最も知られて欲しいバンドだと思っている。

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このページは、伊藤英嗣が2010年5月19日 21:46に書いたブログ記事です。

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