FREELANCE WHALES『Weathervanes』(French Kiss) [reviews]

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 絵本の表紙のような、物語の始まりを感じさせるハンドメイドなジャケットがまず眼を引く。ノスタルジアが湧き上がるこの作品につけられたタイトルは『風向計』。収録曲からは『かいじゅうたちのいるところ』を思わせるようなノスタルジアが広がり、南風がそよいでくるようだった。

 このフリーランス・ホエールズ(Freelance Whales)は、2008年に結成した、NY・クイーンズを拠点とするニュー・カマー。NYの路上や駅でのバスキングを繰り返して実力をつけてきた5人組だ。ネットにアップされた楽曲がブロガーに注目され、ピッチフォークやNMEなどで取り上げられて話題を集めてきた。そんな彼らがリリースしたデビュー・アルバムがこの『Weathervanes』だ。

 アルバムを貫くのは、オーガニックで土着的なサウンドと人肌の温もりあるエレクトロの融合。言いかえれば、スフィアン・スティーヴンス+ポスタル・サーヴイスといったところだ。バンジョーにグロッケンシュピール、ハーモニウム、ギター、チェロ、ドラムなどによる素朴なサウンドに、シンセサイザーやテルミンによる電子音を加えている。シンプルなメロディと豊かなコーラスで構成されたシングル曲「Generator 1st Floor」でアルバムは幕を開ける。その後、パッション・ピットの「Sleepyhead」を思わせる「Starring」や、スフィアン・スティーヴンスのアルバムに収録されていてもおかしくないような「Broken Horse」など、ヴァラエティ豊かな楽曲が並んでいるが、そのどれもがトウィーなセンスとセピア色の郷愁をたたえている。リード・ヴォーカルのユダ・デイドン(Judah Dadone)はファルセットの優しい歌声を聴かせてくれるし、男女混声のコーラスはとても和やかだ。だからきっと、13曲45分を聴き終えるころには、あなたの表情も優しくなっていることだろう。

 そういえば、彼らが所属しているのはレ・サヴィ・ファヴのメンバーが運営するレーベル=フレンチキス・レコーズ。パッション・ピットやドードースといった、ポップネスとダンサブルな要素を兼ね備え、インディ・リスナーの注目となったバンドがいるところだ。このフリーランス・ホエールズも続くことができるか? アルバムを聴きながら見守ろうじゃないか。

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このページは、伊藤英嗣が2010年5月10日 18:17に書いたブログ記事です。

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