ザ・ブラック・ライダー『バイ・ザ・ティケット、テイク・ザ・ライド』(Squirrel / Vinyl Junkie) [reviews]

100519_rev_6_BlackRyder_rev.jpg
 マンハッタン・ラヴ・スーサイズの主宰レーベル、Squirrelに所属するメルボルン出身の3人組サンデイ・リーズをはじめ、「マイブラ・ミーツ・グランダディ」と評されたこともあるシドニー出身のアイズ・オブ・スペース、チェロを含む6人編成のポストロック・バンド、ラウラなど、オーストラリアには"シューゲイザーの遺伝子"を受け継ぐ良質なバンドが多く存在する。07年にシドニーで結成された、このザ・ブラック・ライダーもその1つだ。彼らは元モーニング・アフター・ガールズの中心メンバー、エイミー・ナッシュとスコット・ヴォン・ライパーによる2人組で、08年からブラック・レベル・モーターサイクル・クラブやザ・レヴォネッツ、ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー等と共に精力的にライヴを行なっていた。日本でも、今年の初め頃からMySpaceの音源がシューゲイザー好きの間でたびたび話題に上がっていたが、今作は、そんな彼らの記念すべきデビュー・アルバムである。

 逆回転ギターのヒプノティックなループに導かれてスタートする冒頭曲「To Never Know You」から、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの気違いじみたインスト曲「Glider」を連想させるイントロがたまらなくカッコ良い「Let It Go」までは、いわゆる"シューゲイザー・マナー"に則ったギター・サイケデリアを鳴らし、その手のファンを喜ばす。が、以降はさらにディープな世界へ。シャッフル・ビートとオルガンがサイケデリックに絡み合う「Grass」や、ザクザクとかき鳴らされるアコギが印象的な「Gone Without Feeling」などは、ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー辺りのブルーズ・ロックを彷彿させるし、スプリング・リヴァーブにどっぷり浸かったような「The Greatest Fall」や、ひび割れたヴォーカルと口笛が妖し気な「Sweet Come Down」などは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやギャラクシー500、あるいは久しぶりの新作『Through the Devil Softly』を昨年リリースしたホープ・サンドヴァル&ザ・ウォーム・インヴェンションズなどに近い感触もある。最近よくあるニューゲイザー系のバンドの1つ、などと油断していると、あっという間に異次元へと連れ去られてしまう危険な作品なのだ。

 なお、本作にはブラック・レベル・モーターサイクル・クラブのレア・シャピロとピーター・ヘイズ、ブライアン・ジョーンズタウン・マサカーのリッキー・マイミー、元スワーヴドライヴァーのグラハム・ボナーら豪華メンツが参加し、全面的にバックアップ。新人バンドとは思えぬ力作に仕上がった。

retweet

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: ザ・ブラック・ライダー『バイ・ザ・ティケット、テイク・ザ・ライド』(Squirrel / Vinyl Junkie)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://cookiescene.jp/mt/mt-tb.cgi/1238

このブログ記事について

このページは、伊藤英嗣が2010年5月19日 22:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ザ・デッド・ウェザー『シー・オブ・カワーズ』(Third Man / Warner)」です。

次のブログ記事は「ジェイミー・リデル『コンパス』(Warp / Beat)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1