ジ・アップルズ・イン・ステレオ『トラヴェラーズ・イン・スペース・アンド・タイム』(Simian / P-Vine) [reviews]

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 アップルズがSpaceとTimeをTravelするのだから、期待通りの直球アルバムであった。彼らが本来備えていたポップさが、電子音を介することによってよりカラフルに彩色されており、潔いほどの直接さが伝わる。車内のラジオで流れでもしたら、それだけでもうドラマティックな雰囲気を演出できるだろう(高速道路推奨)。

 甘酸っぱいメロディセンスや、ロブ・シュナイダーのハイトーンな声という要素らは、良い意味でAORを彷彿とさせる。曇りのない曲達はしかし、夢と希望だけを詰め込んだ理想世界を能天気に紡ぐわけではない。シニカルさというか、酸いも甘いも含ませたポップ感とでも表現し得るのか、馬鹿騒ぎに耽っているわけではない。考えてみれば、メンバーらも若くはない(ロブの声と外見のギャップをとやかく言うつもりはない)。直球サウンドであってもそこに簡素という文字はないのだろう。

 冷たいコーラや窓から注ぐ風のような、気持ちの良いアルバムだ。ここにきてキーボーディストを導入する創造への探求心にも頭が上がらない。ポップとは? という命題に対する一つの理想的な解答である。

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このページは、伊藤英嗣が2010年6月 3日 10:45に書いたブログ記事です。

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