濃密な静寂を堪能できる60分である。レッド・ハウス・ペインターズのフロントマンであるマーク・コゼレクのアコースティック・ソロ・プロジェクト、サン・キル・ムーンの4thアルバム。
モノクロの写真は往々にして、カラーにしても趣深いものであるのだが、モノクロだからこそ比類なく輝く変種的な写真も存在する。本作も文句なくそれであり、余計な装飾がまとわりついていたとしたら、この淡くて心もとない魅力は成り立たない。声とギターだけの編成による白黒のアルバムでなくてはならない。
ナイロン弦のぽそぽそした音色で紡がれる幽玄なアルペジオは、人を不安にさせるようなコード感を伴い、マーク・コゼレクの声は以前にも増して無気力に浮遊している。非現実的で危うい音像。湧水のようにモノクロのノスタルジアが溢れだし、淡々と似たような曲が繰り返され、次第に私達は眩暈の一つでも起こしそうになる。美しくなんかないし、サン・キル・ムーンに美しさはいらない。隔絶されているし、溝が決して埋まらない。だから地味なアルバムで終わらない。傑作。
