プリドーン(PREDAWN)「手のなかの鳥」EP(RD)

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 アジアン・カンフー・ジェネレーションが主催するフェス「Nano-Mugen」や、去年に引き続き今年のFuji Rock Festivalへの出演も決まっている、PREDAWN(プリドーン)こと清水美和子。これまでにANDYMORIやQUATTRO、ECCYの作品に参加したり、自主制作によるCDR「10minutes With Predawn」をリリースしたり(下北沢Mona Recordsで異例の売上枚数を記録)と、すでに耳の早いオーディエンスの間では話題になっていた彼女による、本作はファースト・ミニ・アルバムである。

 クレジットを見ると、作詞・作曲はもちろん全ての楽器演奏からプロデュース、ミックスまでを彼女が1人でこなしているようだが、一聴してまず、あまりのクオリティの高さに圧倒された。アコースティック・ギターによる弾き語りを基軸としつつ、そこに彼女の1人多重コーラスやハーモニカ、トランペット、あるいはタンバリン、グロッケンシュピールといったパーカッション類が、極々控えめにオーヴァーダビングされている。その箱庭のようなパーソナルなサウンド・プロダクションは、シンプルだが豊かで奥行きを感じさせ(イラストレーター野田まさ子によるアート・ワークも、彼女の世界観を見事に表現している)、例えばポール・マッカートニーの『マッカートニー』や、細野晴臣の『Hosono House』を聴いたときのような(どちらも自宅スタジオに籠って作られた初のソロ・アルバム)、穏やかだがどこか孤独で切ない感覚に包まれる、と言っても決して大袈裟ではないのだ。

 どちらかと言えば線の細いインドア系のアーティストなのかと思いきや、ライヴでのパフォーマンスを観てさらに驚いた。少しハスキーでキュートなウィスパー・ヴォイスは、あるときは力強く、あるときは伸びやかに宙を舞い、聴き手の胸の奥までストレートに届く。「和製ノラ・ジョーンズ」と評されたりもしているというが、個人的にはザ・サンデイズのハリエット嬢やリンダ・ルイス、メアリー・ルー・ロードといったアーティストを思い出した。そう、いわゆる"ナチュラル""癒し系"などという言葉で評されるような今どきのシンガーとは一線を画す、"凄み"のようなものすら感じさせてくれたのである。

 日本人離れした、などというフレーズが今どき褒め言葉にもならないのは重々承知している。が、彼女ほど日本人離れしたワールド・スタンダードな才能を持つシンガー・ソングライターはそういない。今後の活躍も本当に楽しみだ。

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