ローカル・ネイティヴス『ゴリラ・マナー』(Infectious / Hostess) [reviews]

local_natives.jpg 格好付けていないのに格好良いというのは実にカッコいいことなのだなと思う。サウス・バイ・サウスウエストで話題となり、海外メディアから注目を集めているUSの5人組インディー・ロック・バンド、ローカル・ネイティヴスの海外デビュー作『Gorilla Manor』。ロサンゼルスはシルヴァー・レークを拠点に活動する彼らのサウンドは過剰にならず、抑制された熱が生み出す音の数々が渋い。が、しかし、ユーモアたっぷりに弾ける曲あり、ドラマチックに盛り上げる曲ありと目まぐるしく移り変わる。
 
 それは楽曲単体にも言えて、ほんのりとエコーを効かせ、音の輪郭をぼやけさせることがあれば、民族音楽的なパーカッションが躍動の色を濃くし、鋭くギターが切り込むなど、多種多様。まるで聴いていると密林の中に迷い込んだかのようだ。しかしそれでも、あくまでもポップでステップを踏みたくなる衝動に駆られる。そして、綺麗なのだ。
 
 ローカル・ネイティヴスの狙うところは具体的に分からないが、とても遊び心のある音楽を作ろうとしたのではないかと感じる。もちろん真摯に音と向き合っているとも感じるが、聴いていて純粋に楽しいのである。ハーモニーに対する解釈が抜群に深い。コーラスはばっちりきまっているし、エレクトリック・ギターのアルペジオや、かけ声に似たコーラスもまた、きまっている。ややノイジーなサウンドすら和音として奏でてしまうところには正直おどろいた。
 
 音量レベルの駆使、ダウン・テンポからアップ・テンポへ、その移行も絶妙で、トリップを誘う数々の音も手伝って魅了された。8曲目のトーキング・ヘッズのカヴァーも良い。本作が絶賛されているのも頷ける。それにしてもこの完成度の高さは素晴らしい。かなり垢抜けている。まだ早いが、この先、どこへ進むのか気になってしようがない。彼らならどのような方向へも進めるだろう。個人的には本作の音楽性をより深く追求してほしい。きっととんでもない作品になるはずだ。それにしてもジャケットもカッコいいな。

(田中喬史)

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このページは、伊藤英嗣が2010年8月 8日 03:38に書いたブログ記事です。

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