パラエル・ストライプス

| | トラックバック(0)
PARAELE STRIPES

音楽がないと生きていけないというのが当たり前の世界で
何をするにつけても音楽が必要だなというか


音楽シーンの中心から遠く離れた福岡で、とびきりハイテンションなダンス・ミュージックが鳴らされている。アメリカ帰りのイケメン・Marsと、実に今の日本らしいオタク・松下の二人組によるパラエル・ストライプスが先ごろリリースしたミニ・アルバム「feyz」は、ポップのときめきと独立独歩な姿勢の逞しさが共存するたまらない内容だった。そんな充実作を引っ提げてツアー真っ最中の彼らだが、ヴォーカルのMarsに電話インタヴューを敢行した。

PARAELE_STRIPES_1008_A1.jpg

いきなりですが、今回の「feyz」はレヴューでも書きましたが最高です! 突き抜けた内容になっていますよね。

Mars(以下M):いやぁ、ありがとうございます(笑)。

どちらかといえば内省的な音楽性だった前作...2007年のファースト・アルバム『Phirst Tense』のから、ずいぶん音楽性に変化が見られますよね? 何かきっかけなどはあったのでしょうか?

M:リリース後、劇的にライブの本数が増えたんですよ。今回の「feyz」にいたるまで。いろんなイベントに出演させてもらったりとか。ライブよりも製作に重きを置いていた前作は一回深く考えて理解しようとか、徐々に感じてもらうような部分が結構多かったと思うんですよね。

そうですね。

M:でも、ライブを重ねるうちに、そういったものよりも、もっと身体で感じられるようなものとか、一言でシンプルに伝わるようなものを自分たちでやってみたくなったし、聴いている人たちにもそれを求められるように思えてきたんです。そういうことを考えていたら、無意識のうちに「Prototype」という曲が出来上がって。そこで≪今の僕らのあるべき姿≫みたいなものがクッキリ見えてきた気がしたんですよ。そこで一枚、この感じで作ってリリースしたくなったんです。

やっぱり、変化のきっかけとなったのはあの曲なんですね。「Prototype」に関しては、既にリリースされているものだけ比べてもアレンジが変わっていってますし、試行錯誤のようすが伺えますね。

M:あの曲についてはシングルが先に出ているというのもあるけど、もともと僕たちはライブでは演奏もアレンジも曲そのものも、毎回違うしどんどん変わっていくバンドなんですよ。そういうのもあって、アルバムにはもう少し時間の経った新しいバージョンを収録しました。

正直、新しいバージョンのほうが前のバージョンより遥かに良いと思います。その進歩の速さも凄いし。こういう突き抜け方ってなんとなく2010年っぽいですよね。前作にあった内向性、ポスタル・サーヴィスっぽいサウンドというのもリリース当時の空気を反映させたものだと思うし、そういう同時代性みたいなものは意識していますか?

M:そうですね。僕らは僕らであり続けると思うんですけど、そのことに安易にもたれかかるのはダメなんですよね。自分たちの振れ幅は自分たちでコントロールできるもので、今ある音楽だったり、自分たちに求められているものを僕らなりに消化して、出していくべきで。僕らが僕らの音を出すのも大事ですけど、聴いている人たちというのも僕らの一部で、そういう人たちといっしょにパラエル・ストライプスは出来ている。だから、今の時代の音に対しても敏感に...といってもメチャクチャ意識しているわけじゃないけど、取り入れていっている部分はあると思いますね。

Marsさんはジャスティスやダフト・パンクをお気に入りとして挙げていましたよね。今回の作品はダンス・ミュージックとして一級品だと僕は思いますが、あの音はレーベルでいえばキツネとか、フレンチ・エレクトロ勢によるスタイリッシュな洗練のされ方とはちょっと遠いところにあると思うんですよ。そのぶん、ストレートさが際立ってるところがいいと思うんですけど。

M:えーと...(ちょっと考え込む)どうだろうなぁ(笑)。僕らはあの人たちにはなれないし、ならないってことでしょうね。「このバンドに影響されてこういう音をやりたい」というのは、今の情報社会のなかであんまりなくなっちゃってきているのかな、とは思いますね。「この音イイな」と思ったりはもちろんしますけど、そう思わせる人たちってクソいっぱいいるわけじゃないですか。探すのもすごく簡単になってきているし。だから、「この人になりたい」と思って本当にその人っぽくなるのは逆に難しくなってきているのかもしれないですね。

なるほど。

M:音楽制作については最終的には自分たちらしくありたいと思うのが当然で、妥協せず突き詰めていくのが大事なんですよ。「これじゃダメだ」と作り直しをたくさん重ねたうえで、自分たちが認められる音が結果的にこうなった、ってところですね。

今回の「feyz」で目指したイメージはありますか?

M:どこでこのCDをかけたいかというよりも、収録された曲をライブで演奏したいし、それを聴いてほしい。そのことで初めて真価が発揮される、そんな一枚になると思って作りました。

前作リリース時のインタビューでは、レコーディングに関してバンドの役割分担はイーブンに近くて、トラックは(松下さんと)二人で、歌詞とメロディはMarsさんが作ったとお答えされてましたが、今回はどうだったのでしょう?

M:「Prototype」や「518」などは結構長い時間をかけて作り上げた曲ですが、それ以外はだいぶ短期間で出来ているのもあって、7割か8割は僕の仕事だったかなと思います。

曲でいうと、「4th Night」における"Don't stop that DJ!!"というフレーズがあまりに直球で、今の勢いを象徴しているように思いました。

M:終わらないでほしい瞬間みたいなものへの強い気持ちが、僕たちがクラブで出演しているときもそうだし、好きなDJがかけているときもそうですけどあって。「4th Night」はWhoopっていう福岡のクラブイベントの4周年に捧げた曲なんですよ。だからこの曲名で。そのイベントや他のイベントでもそうだけど、朝5時になっても終わってほしくない、そうふと思った瞬間をイメージして作った曲ですね。

「Take Down」もそうなんですよね。

M:はい。これも福岡なんですけど、OJJっていうブラジリアン柔術の団体があって、そこをテーマにした曲ですね。

ブラジリアン柔術ですか(笑)!

M:そう(笑)。だから攻撃的なイメージが強いのかもしれないですね。ブラジリアン柔術って柔道に半分則ったルールが多いんですよ。で、一本という括りがあって、それだけで試合は終わらないんですけど、その一本を「Take Down」っていうんです。OJJってオッサンが集まっている柔術団体なんですけど、めちゃくちゃトゲのある感じというか、勝ち負けというよりは、「楽しかったな、明日もがんばろう」と次の日スッキリ起きれるように戦っている、愛のあるファイターがたくさんいるんですよ。(*あとで調べてみたところ、団体のブログも朗らかでいい感じでした)

そういうのって、さっき話したクラブで過ごす時間にも通じるものがあるのかもしれないですね。

M:そうなんですよ。今日楽しかったから明日また仕事をがんばれるという意味ではいっしょですよね。

攻撃的といえば、「Prototype」のPVも攻撃的でしたよね。ファースト・アルバム収録曲「Propose」のPVと正反対というか・・。あれは誰のアイディアなのでしょう。

M:ディスタイム・レコーズのPVを手がけるTraveloqueの壱さんと元Thumb/Slimeballの岡田さんたちが中心になって、チームを組んで手掛けてくれました。曲を聴いてもらって彼らのイメージで作っていただいて。僕ら銀行強盗してますよね。そんな感じだったんですかね(笑)。

ちょっと話は変わるんですけど、HMVのサイトに「無人島~俺の10枚~」って特集が組まれているじゃないですか。ここでMarsさんと松下さんが5枚ずつ選んでますよね。選盤も興味深かったんですけど、このなかでMarsさんがジェフ・ベックの『Jeff』を選んでるのがおもしろいなー、と。

M:あはは(爆笑)。僕、もともとギタリストだったんですよ。生涯ギタリストのつもりで。小学生のときからそう考えていて、(高卒後に)アメリカに渡ってからもプロでギタリストをして生活していたり。そんな僕にとって、ナンバーワンのギタリストが彼なんですよ。

でも、こういう企画でジェフ・ベックからひとつとなると、ふつう70年代の『Wired』とか『Blow By Blow』とか選ぶじゃないですか。ロックとフュージョンが融合して、本当の意味でオルタナというか、バカテクで今聴いても尖りまくったハチャメチャな時期の。なのに、そこで敢えて(2003年リリースの)『Jeff』っていうのがいいですよね!

M:いやぁ。当然その二枚はチビのころからレコードで聴いていたんですけど、あの人が凄いのは60過ぎて新しい音に首突っ込んでいくし、それなのに昔から持っている自分らしさは崩れないというか、あれだけ孤高の音を出していても最終的にはブルースをやっているところですよね。ブルースという古い音楽をあそこまで昇華する手腕というか、音楽って結局みんないっしょなのかなって、いい意味で思わせてくれるミュージシャンだし、あの姿勢がたまらないですよね。

うんうん。

M:あの歳でやめないだけでも凄いのに、オフの時間何やってるんですか? って聞かれて「新しいギターの演奏方法を編み出してる」って答えたらしいんですよ(笑)。何年か前のインタヴューで「最近はスラップ・コードという演奏方法を創りだしている」って言ってましたね。スラップ・コードってなんだよっていう(笑)。それもだいぶハイテク技みたいで。とにかくヤバいんですよね。

あの時期のジェフ・ベックってデジタル・サウンドをだいぶ取り入れてますよね。もしかしたら、この音が今回のパラエル・ストライプスにも微妙に通じる部分があるのかな、と思ったりもしたんです。

M:たしかに。僕のなかで眠っているものではあると思いますね。といっても『Jeff』が出たのもだいぶ前の話だし、今の音に直接通じるというよりは、彼の姿勢をもらった気がしますね。自分自身が生きていくという意味でもそうだけど、流行りの音楽にどっぷり浸かっていても自分は消えない、ジェフはジェフであり続けるという姿は僕らのバンドとも重なったり見習ったりする部分でもあるし、「これがオレの音楽だ」って偉そうなことを言って、ただ頑固なだけな人の音楽よりよっぽど強いと思うんですよね。

この選盤もそうだし、昔のインタヴューを読んでもそうだし、実際の音を聴いてもそう思うんですけど、メンバーのおふたりとも本当に音楽への愛に満ちてますよね。「feyz」に収められた「Musiq」もそういう曲じゃないですか。

M:まさにそのとおり、ですね。

さっきジェフ・ベックのくだりで「チビのころからレコードで聴いていた」とお答えされてましたけど、Marsさんはどういった経緯で音楽に目覚めたんですか?

M:本当にそこまで音楽が好きなんだ、と気づいたのはこの歳になってからなんですけど、やっぱり両親が音楽をやっていたんですよね。親父もバンドマンだったし、オカンも歌うたってて。それで家には腐るほどな数のレコードがあって、CDもどんどん増えていくし、音源に限らず自分が「これをほしい」と思う前に家にはほしいものが既にあって。そういう環境にいたからこそ、子供のころから「真剣に音楽をやっている人たちの曲」を聴いていたと思うんですよ。

そういう環境であれば、ただ闇雲に音源を増やしていってるだけなはずがないですもんね。じゃあ、ジェフ・ベックもマイケル・ジャクソンも本当に小さいころから聴いていたわけですね。

M:そうです、そうです。小学校低学年のとき...テープで聴いてましたね。まだCDという形式が出る前で。ステーヴィー・ワンダーとか、ホイットニー・ヒューストンやエリック・クラプトンとかも大好きで聴いてたし。周りの小学生とはぜんぜん話が合いませんでしたね。

でしょうね(笑)。そういう流れで音楽好きが高じるあまり、高校卒業後に渡米を。

M:何か特別「これをやろう!」ってわけでもないんですよね。なんか日本にいるままだとオレの人生小さいというか、先が見えちゃうような気がして。だから一回自分をゼロにして、壊して、それでもまだ音楽が好きだったらずっと続けられるんじゃないかなって思って。それで向こうに渡って、知り合いなんているわけじゃないし、ひとりのとき何やるかって考えて結局、曲作りしてましたからね。

渡米前から音楽活動はされてたんですか?

M:そうですね。イベントやったりとか、あとはよくあるじゃないですか、大会とか。そういうのに出てましたね。

アメリカに行って、日本に戻ってきて。そのなかで一番得たもの、経験ってなんですか?

M:生活のなかでどのポジションに音楽があるか、というのが日本とアメリカではぜんぜん違うわけですよね。別にどちらがいいというわけじゃないんですけど、いろんな音楽の楽しみ方があるというのが一番わかった気がしますね。音楽がないと生きていけないというのが当たり前の世界で、何をするにつけても音楽が必要だなというか。日本に比べてミュージシャンであるということを強く意識しすぎないというか、いいですよね。そういう感覚。

同じくアメリカに渡って得たものとして抜群の英語力がありますよね。その英語力もあってパラエル・ストライプスは英詩で作曲していますけど、これはバンドを結成した時点からコンセプトとして決めていたことなんですか?

M:いや、ぜんぜんです。メロディーとかリズムは歌詞とともに生きているものだと思うんですよ。僕が英語を使うか日本語を使うかだけで左右されるわけではないんですけど、言葉に合ったリズムというのはありますよね。今、僕らが作っている楽曲には英詩のほうがしっくりくる部分はあって。僕は長く日本から離れていたのもあって、日本語で歌詞を書いて納得できるものが作れるか不安なところもあって。挑戦はしているんですけどね。たまに作ったりとか。

じゃあ、もしかしたら今後、パラエル・ストライプスの日本語詩による新曲も聴けるかもしれない?

M:はい、ありえますね。僕が向こうに渡って気づいたもののひとつに、日本人の劣等感みたいなものがあるんですよ。日本語は利用人口も少ない言語だというのもあるし、一方で国としてはお互い肩組んで生きているところもあるから、英語しゃべれるといいのに、といったプレッシャーをもった人種だと思うんですけど、どちらの言葉もすばらしいんですよ、本当に。日本人が英語をなかなか話せないのは、それだけ「離れた」言語ということなんですよね。日本人が英語を話すのが難しいという状況は、ヨーロッパの人が簡単に英語を話せるというのとはまったく違うし、アメリカの人たちからしてみれば日本語だって魅力的に映るわけで。だから、言語としてはどっちもすばらしいけど、聴いていてカッコいいと思えない音楽を作るのはダメだと思うんですよね。だから、自分にとってしっくりくるかどうかという問題でしかないです。

歌詞と音だと、いつもどちらを先に作っているんですか?

M:ああ、難しい(笑)。意外と同時進行ですね。もちろん歌詞については、あるていど書き貯めておくところも多いですけど。特に今回に関してはどっちも作りながら、というのはありますね。前作よりもより密接に、リズムとか曲とかに歌詞が関係していると思います。

たしかに。生き物のような結びつきは感じました。

M:ですね。このリズムだからこそこの言葉だ、という流れで生まれてきていると思うんですよ。

そういったところはヒップホップに近いのかもしれないですね。

M:そうです、そうです。あの人たちから学ぶものも凄いたくさんあって。ライムというのは僕のなかでは、音楽とは切っても切れないものだと思うし。

PARAELE_STRIPES_1008_A2.jpg
ちょっと古めのイラストなので、Marsがヒゲを生やしている(笑)。今は、さっぱりしてます(トップの写真でいえば、左のヘン顔が彼。本当はイケメン)。


パラエル・ストライプスといえば、Marsさんと松下さんのキャラが対照的なのも特徴ですよね。松下さんは至るところでオタクと紹介されてますが、実際どんな人なんですか?

M:オタクです(笑)。今は完璧にAKB48オタクですね。あとは少女時代とかKARAにもハマってます。家に帰ったらインターネットとゲームしかしてないですからね。マジですよ、コレは。

筋金入りっぽいですね! もともとアイドル好きだったんですか?

M:昔は気持ち悪いくらいモデル好きだったんですよ、今でもそうみたいだけど。北川景子とか、マリエとか...。

Marsさんはアイドルとかどうです?

M:うん。まあ、可愛いコは好きです(笑)。みんな大好きだと思うんですけど。テレビとか見ないんで詳しくはないです。彼は異常ですね。

音楽の趣味もけっこう違ってそうですよね?

M:もう、正直ぜんぜん違います。重なるところは重なるし、曲を気に入るときの共通点とかはたくさんありますけど、ふだん聴いている音楽はまったく違いますね。僕よりも彼のほうが音楽フリークというか、好きなミュージシャンのルーツを掘り下げて物凄い数を聴いていくタイプです。

それと並行してアイドルの曲も聴いているのは凄いですね!

M:まあ、ソッチのほうがメインだとは思うんですけどね(笑)。そういうところも含めてオタクというか、音楽やっているからこそギリギリあんな感じで生きていけているんだと思います。ギター弾いてなかったらただのギークっすよ(笑)!

ちなみに、日本のバンドから何か影響を受けたりはしてきましたか?

M:松下は『東のエデン』のテーマソングやっている人たちのこと、かなり好きみたいです。

ああ、スクール・フード・パニッシュメント。ビート・クルセイダースの方たちとも仲がいいと聞いてますけど。

M:そうですね。よく飲んでます(笑)。ビークルも聴きますね、僕らと音楽性はだいぶ違うけど...。あの人たちの好きなところは生きざまですね、うん。

(元ビークルのクボタマサヒコ率いる)Kuhともライブで共演されてますしね。あと最近、共演が多いのはプリドーン

M:いや、もう...出来あがってますよね。アコギ一本であそこまでやるのかっていうか、あの子の世界観が好きですね。彼女はいいです、本当に。トリップできますね、聴いてて。

ですよねー。で、彼女やKuhの出演も決まっている東京でのライブも少し先(9月20日、新宿MARS)に控えてますよね。最初の話に戻りますが、ライブでパフォーマンスするうえで何か意識していることはありますか?

M:僕らは単純に、チケットを買って観に来てくれた人たちが一秒でも長く「この日、楽しかった」って言える時間を作りたいだけですね!まさに「4th Night」のような終わってほしくない時間です。これ以上は何もないです。僕らは僕らなりの形でお客さんを喜ばせたいし、ライブハウスで観るのは家でCD聴いてるのとぜんぜん違うんだなっていうのをわかってもらえたらと思ってます。

心強いです! 東京のライブもそうだし、名古屋でのクッキーシーン・ナイト(9月16日、詳細はこちら!)でも期待してます!

M:バチコン行きますんで!

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 彼と話していて心強かったのは、苦悩を経ての逞しさと音楽へのほどばしる愛情。(言葉を借りれば)「僕らは僕らであり続けると思うんですけど、そのことに安易にもたれかかるのはダメ」というのは、オルタナティヴであり続けることの力強い決意表明ではあるが、簡単に情報入手も意見の鞍替えもできる今の世の中において、(アル・クーパーが昔歌ったところの)"Be Yourself, Be Real"でいることはどれだけ難しいのだろう。かつて、みんなが貝になって俯き悩んだ時代と誠実に向き合い、そして今、完全にふっきれた姿を誇らしく見せている彼らだからこそ発言の説得力もあるように思う。

 計算的というよりは若干天然ぎみで、ズレてたり不器用なところもあるバンドだと思うが、(インディーの狭い世界にありがちな)誰かの顔色をうかがうわけでもなければ(イマドキ、単に売れたいだけならジェフ・ベック好きは公言しないよなー:笑)、独りよがりな図々しさとも違う、刺激と親しみやすさの共存した音楽というのは彼らのような精神と生き様の持ち主から産まれてくるものだと思うし、今の自分に必要なのはパラエル・ストライプスみたいに「真剣に音楽をやっている人たち」の音楽だ。そんなことを改めて思った。


2010年8月
取材、文/小熊俊哉

retweet

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: パラエル・ストライプス

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://cookiescene.jp/mt/mt-tb.cgi/2318