ティーンエイジ・ファンクラブ

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長い間レコードを作っていなかった僕らの
新作を作る喜びが反映された結果じゃないのかな


新作『Shadows』を6月に発売したグラスゴーの永遠のギター・ポップ・バンド、ティーンエイジ・ファンクラブ。エヴァー・グリーンな歌心を失わない彼らが、5年ぶりの新作で目指したサウンドとは? 8年ぶりの単独来日公演を10月に控える中、新作の内容からメンバーのサイド・プロジェクト、今や20年以上の活動歴となったバンドが長く続く秘訣までを、ノーマン・ブレイクに聞いた。

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新作『Shadows』は、2005年の前作の『Man-Made』から5年ぶりの作品ですね。新作にこれだけ時間がかかったのはなぜですか?

ノーマン・ブレイク(以下:N):特にこれといった理由はないんだけど、前作を出してからかなりツアーをしたからね。その後にしばらくオフを取って、それぞれのプロジェクトなんかをやって、そこから新作のプロダクションを始めたらこれだけ時間がかかったんだ。実際にアルバムは発売の1年前には出来上がっていたんだけどね。

発売から1年も時間がかかったのは?

N:僕らは今自分たちのレーベルでリリースをしているけど、誰かきちんとマネージメントをしてくれる人を見つけてからリリースしたかったんだ。僕らはミュージシャンだから音楽に専念したいしね。今はもういいマネージメントもを見つかったし、新作にもすごくいいリアクションをもらっているみたいだから、次回作はこんなに時間をかけずに、1年以内くらいには制作を始めたいと思ってるよ。

前作はシカゴ録音でジョン・マッケンタイアがプロデューサーだったのに対し、今作はセルフ・プロデュースでイギリス国内の2つのスタジオ(〈Leeder's Farm Studio〉と〈Rockfield Studio〉)でレコーディングされていますね。海外でのレコーディングや他にプロデューサーを立てる方法もあったと思いますが、こうした形になったのは?

N:アルバム毎で違うアプローチをしたいと思って前回はジョンと一緒にシカゴでやったんだけど、今回はエンジニアのニック・ブレインが〈Leeder's Farm Studio〉で働いていることもあって、国内でやろうってことになったんだ。前回は限られた機材しか持って行けなくて他はジョンのスタジオにあったものを使ったんだけど、今回はギターからアンプからグロッケンまで手持ちのほぼすべての機材をスタジオに持込んでセットアップして、ほんと自分たちのホームという感じだったから、前回と違う方向性を出すって意味でも、自然とセルフ・プロデュースになったんだよ。その成果にはすごく満足してるよ。

前回2009年の〈サマー・ソニック〉でインタヴューをした時は、新作について「今までの作品よりダークなものだ」と言っていましたね。言葉通り、アルバムには「Dark」や「Past」といった歌詞が繰り返し出てきたり、ダウン・テンポな曲も収録されていますが、アルバム全体を聞くと今までのアルバムに比べてもよりポジティヴな印象を強く受けます。この点についてはどう思いますか? また、アルバムを作る前になにかコンセプトがあったのですか?

N:アルバムは確かにダークな雰囲気を持っていると思うよ。悪い意味じゃなくて、秋から冬にかけてのイメージのレコードといった感じのね。レコーディングしたスタジオはどちらもすごく田舎にあったから、そうした環境もアルバムの雰囲気に影響を与えているんじゃないかな。曲のいくつかは最初にあったけど、歌詞はすべてスタジオに入ってから書いたしね。とはいえ、もちろん高揚感のある曲も入っているよ。アルバムのそうしたポジティヴな雰囲気は、長い間レコードを作っていなかった僕らの新作を作る喜びが反映された結果じゃないのかな。特にアルバムのコンセプトというのはないんだ。でも新作のたびにいつも以前とは違うことに挑戦してみようとは思っているよ。

音楽的に今作はアレンジやコーラス・パートに細やかさがみられると思います。こうしたサウンド面については、なにか新作での目標がありましたか?

これも同じような意味で、前作とはアプローチを変えたいと思ったんだ。今回は先に言ったように、スタジオに自分たちの機材を全部持込めたからね。そこでデモを作って、新しいアイデアが出ればすぐに自分の機材をそれを試すっていう感じでアルバムを作り込めたんだ。オーバー・ダブなんかも多用してね。だから目標というのはなかったけど、結果そういう細やかなアレンジのアプローチがとれてよかったと思うよ。

また歌詞も人生についての考察(レイモンド・マッギンリーの「The Past」)や戦争の隠喩(ジェラルド・ラヴの「Shock And Awe」)があったり、あなたの曲「Dark Clouds」にしてもすごく意味深な内容が多いですね。こうした歌詞へのアプローチには、40歳を越えてのあなたの人生経験が影響していますか? またバンドの3人のソング・ライターが、歌詞に前述の「Dark」や「Past」といった同じ単語が使かっていることも興味深いです。曲や歌詞は全く別々に書いているのですよね?

N:もちろん僕らはもう40歳を過ぎてたくさんの、ほんとにたくさんの人生経験をしてきたからそれは当然歌詞のアイデアにあらわれていると思うよ。今作では歌詞においてはそうした内省的な部分が多かったと思う。この年で10代の女の子について歌うわけにもいかないからね(笑)。曲も歌詞も3人が別々に書いているけど、僕らはもう20年以上一緒にいるし、レコーディングは共同作業だから互いになんらかの影響は与えているよね。

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ティーンエイジファンクラブは、ノーマン、ジェラルド、レイモンドのソングライター/ヴォーカリスト3人にドラマーのフランシスを加えた4人のはず。
なんで5人も? と思ったら、あとのひとりはサポート・メンバーのデイヴ。このあたりも彼ららしい。



アルバムのアートワークについてですが、今回はグラスゴーのアーティスト、トビー・パターソンを起用していますね。シンプルながらとても印象的なのですが、彼の起用はどうして?

N:彼はもう15年来の知り合いなんだ。とても才能があるアーティストだよね。これもサウンド面と同じでアートワークについても今までとは違う形にしたくて、それを請け負ってくれる人を探した時に、彼ならぴったりだと思ったんだ。シングルのジャケットも含めてアルバムを通して共通のイメージを作りたいと思ったんだけど(アルバムからの先行シングルだった"Baby Lee"にも彼の作品が使われています)、ほんとトビーが作ってくれた作品はどれもすばらしくて作品にもマッチしていると思うよ。ぜひLPサイズで飾ってほしいね。

新作には元ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキのエイロス・チャイルドが参加していますね。あなたは彼と共に、ジョニー(Jonny)というユニットも組んでいますが、彼とのレコーディングはどうでしたか?

N:新作を作るって言ったら彼がスタジオに遊びに来てくれてね。もともと僕はゴーキーズ時代にサポートでプレイしてたりしたし、ジョニーで一緒にレコーディングもしていたからレコーディングはスムーズだったよ。僕のいくつかの曲では高音パートやピアノなど彼に演奏してほしいなっていう部分があったからすごくうれしかったね。彼もほんとうに才能のあるミュージシャンだからね。アルバムに僕らでは作れないいいサウンドを加えてくれたと思うよ。彼とのユニット、ジョニーではもうすぐ3枚のEPを出して来年にはアルバムを出す予定なんだ。

メンバーのジェリー(ジェラルド・ラヴ)のソロ・アルバムも発売が控えているそうですね。

N:うん、まだ完成してないみたいだけどね。僕もまだ聞いてないんだけどすごく楽しみにしているよ。完成してからしか聞かせてくれないんだ(笑)

また、来年は1991年のアルバム『Bandwagonesque』の発売20周年にあたりますね。なにか特別なことを企画してたりしますか?

N:数年前に『Bandwagonesque』の全曲演奏ライヴをやったんだけど、今はファースト・アルバムの『A Catholic Education』と合わせてリマスターしたデラックス・エディションが出せればと思ってるよ。Bサイドの曲を追加して、新しいブックレットを付けてね。でも、もう20年も経ったなんで信じられないよね。

20年という言葉が出ましたが、あなた達は20年以上一緒にバンドを続けていますよね。解散してしまうバンドも多い中、これだけ長い間バンドを続けてこれた秘訣はなんだと思いますか?

N:わからないな。でもメンバー同士尊敬しているし、互いのパーソナリティーのコンビネーションがすごくいいとは思うよ。僕らはバンドである以前に友達でもあるからね。また、ずっと一緒にいないというのもいいことだと思う。互いの時間を持ってそこではそれぞれのことをやっているからね。アルバムを作り過ぎてないこともいいんじゃないかな。5年に1枚は少ないのかもしれないけど、のんびりやっているのがいいんだと思うよ。他のバンドからしたら、怠け者に見えるかもしれないけどね(笑)

そして10月には来日ツアーがありますね(ここの10月後半部分参照)。単独公演は2003年ぶりです。多くのファンが待っていると思います。

N:ずっとフェスティヴァルへの出演だったからね。それも楽しいんだけど、やっぱりクラブでのツアーが一番だよ。なんてったってそこにいるお客さんは全員が確実に僕らのことを見に来てくれてるんだからね(笑)初来日した時からもう15、6年だよね(初来日は94年)。それからずっと日本のファンのみんなは、僕らをサポートしてくれていてほんとうに感謝しているよ。僕らもすごく楽しみにしているから、ぜひまたライヴを見に来てくれたらうれしいよ!


2010年9月
取材、文、翻訳/安永和俊

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