Fuji Rock Festival 2017

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Introduction


忘れもしない1997年3月にこのクッキーシーンは始まった。そして、その数ヶ月後、同じ年の夏にフジロック・フェスティヴァル第1弾が開催された。


ぼく自身は上記の事情で超どたばた(なにせ自費で「雑誌」をスタートさせた直後)だったため行けなかったが、創刊号で告知したスタッフ募集に応えてくれた初代相棒=副編集長、畠山実くん(現アンド・レコーズ)は、とにかく好奇心旺盛だったのだろう「ぼくは行きますよ!」。


超うらやましかった。土産話を楽しみにしていたところ...、いや、なんとなく想像つきますよね、台風直撃でやばかった、大変だったということをそのあと数年間延々と聞かされた。ただ今となっては、それも貴重どころか伝説的体験だったとさえいえる。この20年のあいだに、フジロックが日本などという枠を軽く飛びこえて、世界を代表するサマー・フェスティヴァルのひとつになったから。


1998年には、前年の経験を踏まえて、台風の影響が少ないと思われる場所に変更された。それは即座に納得のいくことだったのだが、驚くべきことに、1999年にはまた会場を変えた。それ以降ずっと、毎年同じ場所で開催されている。季節はずれの苗場スキー場という、ちょっと考えると不便極まりない山のなかで。


逆説的な話になってしまうが、それもフジロックがここまでつづいた理由のひとつではないか。なにより重要なのは、ロックやポップ・ミュージックのファンなら誰もが膝を叩くようなラインアップが毎年揃っていることだが、それを喜ぶ「ロックやポップ・ミュージックの(ディープな)ファン」は、どちらかといえば都市型もしくは郊外型の生活を送っていることが多い。


そんなぼくらにとって、苗場の現会場は、かなり異世界に近い。だからある程度の苦労は強いられるにしても、それゆえ単に与えられるだけのショッピング・モール/近代的テーマ・パーク型の楽しさとはまったく違う。田舎/D.I.Y.的ノリの生活様式と、元来都市型もしくは郊外型エンターテインメントであるロックやポップ・ミュージックが混ざりあい、実に不思議な空間が生まれるのだ。


90年代初頭からクッキーシーンを始めるまでのぼくはイギリスに入りびたっていた。年の1/3くらいそこにいたこともあったくらい。なにが魅力だったかといえば、まず現地のミュージシャンやレーベルやってるひとと普通に会えること、小さな会場でやるライヴの値段がとても安いこと、そして毎年おこなわれる伝統あるサマー・フェスティヴァルのラインアップがいつも最高なこと。


それから20年以上、少なくとも上記みっつめは、日本もようやくイギリスに追いついた。もちろん、そんな動きの中核にあるのがフジロックであることは、1997年から現在まで変わっていない。今年はとりわけ素晴らしい、ってなわけで(「媒体」として)同い歳クッキーシーンのぼくらは、第21回めの会場で、お互いの20周年を祝いたいと思う。


そして以下は、クッキーシーン的に、とくに注目の12出演者をピックアップしたもの。執筆を担当した編集者がこれらを確実に観れるかは、わかりませんが(笑)。

(伊藤英嗣:以下:

7月28日(金)


GORILLAZ

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初日のグリーン・ステージのヘッドライナーを飾るのはゴリラズ! 7年ぶりの最新作で描かれている〝トランプ政権の誕生〟を軸としたダークだけれどポップでタフな世界観がどう再現されるのか? 〝バーチャル・バンド〟として出発したゴリラズが、図らずも現実とリンクしてしまう今こそ、そのサウンドとヴィジュアルに注目しよう。(犬飼一郎:以下:犬)


QUEENS OF THE STONE AGE

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ファック・テロリズム! アリアナ・グランデのマンチェスター公演での事件も記憶に新しいが、近年、音楽を標的とした最初のテロは15年11月、パリでのイーグルス・オブ・デス・メタルのライヴだった。そのメンバーでもあるジョシュ・オム率いるクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジがホワイト・ステージに立つ。暴力に屈することのない最強のロックンロールを。(犬)


THE XX

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ダブステップをベースとした緻密でクールなサウンド。〝X〟を象徴的にレイアウトしたミニマムなアートワーク。ロミーとオリヴァー、そしてジェイミーが貫いてきた姿勢は最新作『I See You』でも揺らぐことはなかった。そして何よりも感動的だったのは(いい意味で)ポップになったこと。開かれた世界へと向かうエックスエックスを体感する絶好の機会だ。(犬)


7月29日(土)


CORNELIUS

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メロウな波が、緑のフィールドを包みこむ? 昨年のアメリカ・ツアーでライヴの手応えも得たコーネリアスこと小山田圭吾が、そのあと久々のオリジナル・ニュー・アルバム・リリース、そして秋以降のジャパン・ツアーという体勢に入ったのは「流れ」としても実に美しいといえるだろう。新作の内容からも明らかなとおり、一皮剥けた彼を、大自然のなかで目撃せよ。)photo by Sukita


THE AVALANCHES

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昨年のフジロックで残念だったのはアヴァランチーズのキャンセル。16年ぶりのセカンド・アルバム『Wildflower』が期待をはるかに上回る完成度だったからなおさら...。でも、そのリヴェンジを果たすときは意外に早くやって来た! 〝膨大な数のサンプリング・ソース〟ばかりが話題になる彼らだけど、そのライヴこそが未知数。必見!(犬)


LCD SOUNDSYSTEM

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断言しよう、今年のラインアップでぼくが最も期待しているのは、彼(ら)のギグだ。かつて体験したLCDのそれは、個人的フジロック・ベスト・アクト・トップ5に確実に入る(第1位は2001年のニュー・オーダー、第2位以降はなかなか決められないよ、順位なんてやつはさ:笑)。インターネット映像をとおして昨年チラ見したアメリカのフェスにおけるショウも、今年の春リリースされた新曲2トラックも素晴らしすぎ。ニュー・アルバムを待つまでもなく、すでに期待で倒れそう。



小沢健二

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近年のゆるやかなライヴ活動、今年2月のニュー・シングル「流動体について」のリリースに続く本格的な音楽活動の再開が期待される中でのフジロック初登場は、オザケンの〝今とこれから〟を知るうえでも重要なステージになるはず。2017年に元フリッパーズ・ギターのふたりが同日に出演し、共に最新の音楽を届けてくれるなんて、やっぱり最高!(犬)photo copyright by Hihumiyo.net


TEMPLES

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2014年に続いて2回目のフジロック出演となるテンプルズ。3月にリリースされたセカンド・アルバム『Volcano』を引っさげて、レッド・マーキーのヘッドライナーとして堂々の帰還だ。サイケデリックな浮遊感はそのままに、よりポップさを増した今の彼らにとって最高の舞台が整った。グルーヴが渦巻く極彩色の"別世界"へ飛びこもう!(犬)


THE LEMON TWIGS

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いわゆるインディー・ポップの枠に括られそうなサウンド傾向で、それは別に問題ないのだが、思うに彼らの音楽性はそれを大きくはみだしている。たとえば昨年の最新アルバム『Do Hollywood』1曲めの変則リズムとか、ねじれぶりがすごい。そんな部分も含み、幾分ザ・ビーチ・ボーイズっぽいけれど、ぼくとしては「それを超えている」とさえ言ってしまいたくなる。)photo by Autumn De Wilde


7月30日(日)


THE STRYPES

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ロックンロール! ニュー・ウェイヴ! この叫びに呼応するひと、必見! グレイトだったニュー・アルバムを聴いてもわかるとおり、彼らは今のところ(極初期、サード・アルバム以前のU2がそうだったように)「スタジアム向け」というよりは、リスナーとのインターアクションでさらなるパワーを発揮するバンドだと思う。レッド・マーキーの「大トリ」、盛りあげたいね!


SLOWDIVE

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過去、ライヴを観たいアーティストは大抵観てきたぼくだが、どういうわけかスロウダイヴのそれは、まだ一度も体験できてないんだよな...。いわゆるシューゲイザーに分類されるアーティストとしては、その無限度の高さがトップ・クラスに位置する音楽性だけに、是非ともライヴで味わいたいと思っていた。新作、最高傑作とぼくは感じている。グッドなタイミングだ。


THUNDERCAT

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今回ピックアップしたなかで唯一主要3ステージ(グリーン、ホワイト、レッド)以外の登場アーティスト。最終日フィールド・オヴ・ヘヴンの「大トリ」。なるほど! スーパー・メロウ・ポップでありながら狂ってる、いや酔っぱらってる(確実に今年のトップ20に入るだろう最新作のタイトル『Drunk』ですし:笑)彼の音楽は、ぼくらをきっと天国に導いてくれるはず。こんなところも、フジロックの粋な部分だよ、まったくさ!



FUJI ROCK FESTIVAL '17

7/28(金)29(土)30(日)

新潟県 湯沢町 苗場スキー場

http://www.fujirockfestival.com


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