きみとぼくのために

|
もうすぐ友だちの一周忌。これは、きっと天国にいるだろう彼の魂にむかって書いている。もちろん読んでくれてるあなたにも...ってことは言うまでもないけれど、もうひとり、その確率は30%以下であると思える、彼女にむけても(笑)。

彼女と知りあったのは、骨折した野球部のエース・ピッチャーを見舞いにいった病院で(ぼくは控えのキャッチャーだった:笑)。そのあとしばらくつきあっていたけれど、中学校の卒業を機に別れた。でも、ときどき偶然駅前で顔をあわせるたび、甘酸っぱい胸の痛みに襲われていた。

亡くなった一道くんと一緒にクッキーシーンを作っていた00年代前半、突然彼女から編集部にメールがきた。二浪して東京芸大に受かった彼女が現代音楽をやっていたことは知っていたんだが、なんとアメリカ人作曲家と結婚してニュー・ジャージーに住んでいるという。彼女の音楽を聴かせてもらったり、しばらくメールのやりとりをしていたけれど、00年代後半にはそれもなんとなくとぎれてしまった。

今は初冬。この季節になると、中学生のとき一度だけ彼女と映画に行ったことを思いだす。親以外のひとと行くのは初めてだったし、楽しかった。そして、当時はやっていたこの曲をさっき聴いていたら、なんかいてもたってもいられなくなってしまった。だから、これを書いてみた。

まあ、とにかく、ぼくはなんとかやっていく。まだ数年は、たぶん一道くんのいることころには行けないんじゃないかな? だけど、遅くとも数十年したら、ぼくも絶対そっちに行く(笑)。ごめん、もうちょっとだけ、待っててね。





世界はきみやぼく以外のひとたちであふれてる
見てごらん
ぼくらはすぐに笑ってしまう 誰かが失敗すると
そしてみんなの気分をへこませる

さあいこう
ぼくらはそんなにホットじゃないんだよね
ローラーコースターみたい
おちていくときの
一方通行
足もおぼつかない
廃墟へ一直線
自分がなにをしてるかもわからないまま

彼女はおとなしいかも
シャイかもしれない
だけど彼女をおちこませちゃいけない
無視しちゃいけない

彼女の瞳の奥には世界のすべてに通じる知恵がある
そこにはあらゆることに対する答がある
「きみとぼくのこと」について以外の

白昼夢のなかをさまよってるみたい
まわりが見えてなてかったんだよね きっと
世界はきみやぼく以外のひとたちでいっぱい
ぼくらは彼らをおちこませる

さあいこう
ぼくらはそんなにホットじゃない
ローラーコースターみたい
おちていくときの
一方通行
足もおぼつかない
廃墟へ一直線
自分がなにをしてるかもわからないまま

彼女はそれほど美人じゃない
でも そうかな?
きみは重要なことを見おとしてる
これはゲームじゃない
黄金の心
さえない感じの裏にあるそれが
あらゆるひとの心をなごませる
「きみとぼく」以外の

ものごとを裏から見てごらん
衝撃的だよ
きみも驚いちゃうだろう

世界はきみやぼく以外のひとたちであふれてる
見てごらん
ぼくらがペースを作るんだ ほかのひとたちが聴いてるあいだ
音もたてずに

また雨がふるだろう
でも ぼくらは変わっていく
きみとぼくは理解しあっていた
その事実は永遠に残る

だから ちょっと時間をとろう
疑問ってやつを持つためにさ
世界は変わりつづけている
きみとぼくに代わって

訳:伊藤英嗣

メニュー

2015年12月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31