live reports

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 まさに「記録ではなく記憶に残る」バンドだ。

 この7月アタマ、終電後の深い時間にも関わらず超満員にふくれあがった代官山ユニットのフロアで、その神髄に少しだけふれることができたような気がする。

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 これまでの暖かな日差しの中で遊ぶ景色を過ぎ、夜の海の気怠さとその中での新たな想いを抱えた新作『アポリア』を引っさげての全国ツアー、ヴォーカル・ギターのフロントマン、クボケンジの地元でもある大阪での公演はチケットが早々にソールド・アウト。彼らの2年振りの勢いに多くのファンが詰め寄せていた。当日は期せずして、『アポリア』で鳴らされたような生暖かく気怠い天気だった大阪は、彼らの素朴ながらも強かなショーと同時に夏を迎えたようだった。

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 それまでも公言していた'80sポスト・パンクのエッセンスにヘヴィ・ロック的なド厚い音圧で、一心不乱に木々をなぎ倒して突き進む鈍獣のように、およそ30分の収録時間を、聴く者に直球で訴えるようでありながら同時に、どこかで安直な理解を欺こうともしているようなひねくれ気味の衝動でもってノンストップで突っ走る『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』がリリースされてから初めてライヴを行う日に(厳密に見れば、24時を過ぎているので日時は翌日にまたがっているものの)名古屋と大阪で2公演をこなした0.8秒と衝撃。。この後者、大阪公演を観る機会に恵まれた。

 ライヴ中のMCでソングライターのフロントマン、ヴォーカルの塔山忠臣は、自身が当日の午前中に東京でバイトをしていたことも明かしていた。まとめると東京でバイト→名古屋でイベントに出演→深夜~早朝の大阪でもライヴと、怒濤のスケジュールになっていたわけだが、その疲弊など一切感じさせない、バンドとしてのダイナミズム、シニカルなステージング、ニヒリズムを匂わせながらもそこから確かに感じ取れるインディーとしての感覚などが感じられる圧倒的なショーだった。

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 生の震撼や硬直が、経験的苦境がその中にまで及ばないこの場所、不気味な規範の抑圧からの避難を許すと人々が信じているこの領域においてさえも、反照しているならば、生とは今日、なんと根本的に混乱したものであることか。人々への約束が果たされるのは、彼らが期待するものを拒否することによってのみなのである。(T.W.アドルノ『新音楽の哲学』より)

 セカンド・フルアルバム『TRANSPERSONAL』を引き下げてのツアーの4箇所目となる京都公演に密着してきた。会場は京都でも老舗のクラブでもあるメトロ。名古屋、福岡、広島でも手応えはあったみたく、昼2時過ぎに入り、リハーサルから覗かせてもらったが、以前に自分が観たときよりも圧倒的にバンドのグルーヴが太くなっており、そして、何より力強さと色香が増していたのが特徴的だった。旧曲も勿論いいが、新譜の中でもリフが印象的な「Effectual Truth」やポップでクールな「You're Blind」辺りは特に肉体性を帯びて、再写されることで、よりくっきりと輪郭が立体性をもって浮かび上がって、聴こえた。何より、メトロそのものの音響も良く、バンド・メンバーたちも納得している様子だった。寝不足気味というKENTもコンディションも良さそうで、彼も大学時代を過ごした京都での公演ということもあって、柔らかにリラックスした印象も受けた。

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 最新アルバムにして、一つの長編小説である『真昼のストレンジランド』をリリースしたグレイプバインの大阪、彼らのホームタウンでの公演。それは、ストレンジランドへと誘うグレイプバイン主催のエクスカージョン(ショート・トリップ)であり、一つのお芝居であり、単なるエンターテインメントとしてのライヴ・ショーを超えた素晴らしい見世物でもあった。

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 まずは鴨田潤の新作『一』について紹介しよう。


 本作は、ラッパーであるイルリメが本名の鴨田潤名義でリリースした、自主制作CD-R『ひきがたり』に続くフル・アルバムとなる。


 鴨田自身の声と最小限の伴奏とで構成されたこのアルバムで描かれた風景は、日常的な出来事も、珍しい出来事もある。


 日常的な出来事では、部屋に引っ越してきた当日と出て行く前日の風景と心情を描いた「空部屋」(M-9)が、特別な出来事が起こらないのにも拘わらず聴き手に余韻を残す。また、恋人とのやりとりという同じモチーフでも、「昨日は、」(M-2)では恋人とのちょっとした諍いと仲直りを爽やかに描いている一方で、「無理問答」(M-4)では、気持ちは分かるけれども今はちょっと待ってという気持ちを"無理!"というフレーズを多用することでユーモラスに表現している。


 珍しい出来事では、朝のバスに現れた顔なじみのおかまをめぐる「おんなのおっさん」(M-5)が哀愁を漂わせつつ、主人公の視線が優しくも凛々しく、題材が題材なのに清々しい印象を残す。そしてアルバム最後の16分超の大作「プロテストソング」(M-10)が圧巻。久々に実家に戻った際に父親が若き日に吹き込んだカセットテープを見つけ、それを聞いた主人公と父親との交流を描く。この曲では父親の曲が曲中曲として歌われており、親子のやりとりに深みが出ている。


 共通しているのは、そこにいる主人公達がそれぞれに地に足の付いた行動を取っているところだ。過度にドラマティックにならず、出来事に対して真正面から真摯に向かっている。そのためか、聴き手は自然に主人公達の視線を共有することができる。


 強調したいのは、冒頭の「Magic Number」(M-1)。曲が始まると、鴨田のヴォーカルを重ねたコーラスが聞こえてくる。"魔法のような瞬間を 君が今 呼び寄せた"という歌詞、その"魔法のような瞬間"を体現するかのような、優しく儚いコーラス。対照的に歌詞部分のヴォーカルはラップのスタイルで、力強い。ごく私的な、しかし本人にとっては奇跡的な瞬間を描くこの曲が1曲目にあることで、私はこのアルバムの芯にある力強さが見えるように思った(余談も余談だけれど、アメリカのSF作家シオドア・スタージョンの『不思議のひと触れ』という短篇を連想しました)。

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 待ちに待ったアパラチックのライヴ・ショウ! 13日にもライヴを行ない、14日から25日まではエキシビジョンとして展示、そしてシメの2日間のライヴ・ショウを観てきたというわけだ。

 会場にはCubeと呼ばれる巨大な"ハコ"が用意され、その中にメンバー4人が入り、誰が誰だかわからないようにスクリーン映像を織り交ぜながら演奏する。まさに覆面バンドである。
 
 全員が全身シルバーの衣装をまとい、ガス・マスクのようなもので顔と頭を覆い、本当に誰が誰だか最初から最後までわからない状態。その髪型すらわからない4人が"ハコ"の中へ入っていくと、未発表曲も含めたたくさんの曲を披露。踊る客に写真を撮る客、座って観ている客と様々だった。
 
 特に良かったのは2日目で最後にプレイした「デッドビート」。これはもう筆者も大興奮で、一人で立って目立ちながら踊ってしまった。途中には「Hu-Ha!」のシャウトが耳に残るカンフーっぽい珍曲も。"ハコ"の中のメンバーもこのシャウトだけはカンフーの振り付けで皆を惹き付けた。

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 渋谷シネマライズの跡地に出来たライヴハウスWWWにて、東日本大震災復興支援イベント「WWW presents #restart」が開催された。「日常を再起動して復興を支援するプロジェクト」というコンセプトの下、26日(土)と27日(日)の2回に分けて行なわれた当イベントは、いずれも15時から18時半までというイレギュラーな時間帯。これは東京電力発表の「電力使用状況グラフ」に基づき、電力使用のピーク時間を避けて設定したものだという。なお、チケットの売上から諸経費を除いた収益の全額は、災害義援金として日本赤十字社に寄付する方式を取っており、会場、出演アーティスト、そしてオーディエンスの3者が共同で被災地を支援する形となる。
 
 この呼びかけに賛同し駆けつけたアーティストは、土曜日がCaravan、ジム・オルーク、前野健太とDAVID BOWIEたち、Predawn。日曜日がoutside yoshino(イースタン・ユース)、小田晃生、口口口、渋谷慶一郎。筆者は土曜日の回の(時間の関係でCaravanを除く)3アーティスト(+飛び入りゲスト)を観ることが出来た。

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 トラファルガー広場やバッキンガム宮殿など、ロンドンの中でも特に有名な観光スポットが存在するウェンストミンスター。その最寄りの駅であり、ロンドン中心部の鉄道ターミナル、チャリング・クロスの高架下にあるのが「HEAVEN」だ。ここはロンドンでも最も有名なゲイ・クラブで、曜日によってはノンケでも入場できる。最近は名所化し、普通のライヴも行なわれているのでアブナイ雰囲気は皆無。階段を下りて地下の入口を抜けると、恵比寿リキッド・ルームほどの広さのフロアに、すでに満員近いオーディエンスがひきしめあっていた。天井はとても高く、左右にぶら下げられた巨大なスピーカーからは下腹部を突くような低音がドーン、ドーンと鳴り響いている。サウンド・クオリティは申し分ないので、かなりの爆音だったが耳に障るような周波数はほとんど出ていなかった。

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 祝!I'll Be Your MIrror開催。発表された時から、錚々たるラインアップに心が震えた。ゴッドスピード・ユー! ブラック・エンペラー、ファック・ボタンズ、ダーティ・スリー、そして国内からはボアダムス、灰野敬二、ボリス等々。こんなにすごいバンドばかりが同じ日に、同じステージに上がるなんて。中でも僕はボアダムスと灰野敬二に注目。同じ国内にいながら、なかなかライヴに行くチャンスがなかったから絶好の機会だと思った。当日は快晴。暖かいくらいの陽気に、ますますテンションが上がる! 新木場に急がなくちゃ。


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