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 かつてシカゴには、ロン・ハーディーというDJがいた。ロンのプレイを知るデリック・メイいわく、ロンは「マッド・サイエンティスト」だったそうだ。ロンは激しいEQ使いやトリッキーなプレイを得意とし、それはデリックのプレイを観たことがある者ならわかるように、多くのDJたちに影響をあたえるビッグ・インパクトだった。そして、ジューク/フットワークのオリジネイターであるトラックスマンもまた、ロンに影響を受けたひとりだ。詳しくは『Da Mind Of Traxman』のライナーノーツに書かれているが、トラックスマンは「ロンは、俺にハウスが何たるかを教えてくれたDJ」と語っている。


 冒頭からロンの話をしてしまったが、もちろんそれなりの理由はある。10月12日に代官山UNITでプレイしたトラックスマンは、そこで「Strings Of Life」をスピンした。かなり速いBPMではあったものの、デリックによるこのテクノ・クラシックを聴いたとき、過去/現在/未来をひっくるめたダンス・ミュージック史が目の前に現れたような気がした。


 ロンやフランキー・ナックルズによってハウスが開拓されていた頃のシカゴに訪れたときの感想でデリックは、「そのアイディア、コンセプト、彼らのパーティーのやり方とか、そういうことをデトロイトに持ち込もうとしたわけではない」と語り、また、「彼らの環境やコミュニティーは独特のものだった」「俺達はデトロイト出身だから、デトロイト独自のシーンを構築したかった」とも語っている。


 しかし、あの日の「Strings Of Life」には、「すべては繋がってるんだぜ!」というトラックスマンの歴史観が込められてるように思えた。それは、シカゴで自身の音楽を育んできたがゆえのプライドと豊富な音楽的知識が入りまじったもので、シカゴのトラックスマンがスピンするからこそのリアリティーと説得力がそこにはあった。というのは筆者の考えすぎ? しかし、トラックスマンによって次々とスピンされるトラックをあの場で浴びた者なら、その音の奥底にある"深み"と"強度"を感じられたはず。


 リード文としてはあまりにも長くなってしまったが、筆者が感じた"深み"と"強度"を少しでも伝えようと、言葉にしがたい"あの空気"を言葉にしてみた。読んでもらえたら幸いだ。



(近藤真弥)

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 さて、みなさん、サマーソニックでニュー・オーダーは見られただろうか? ぼくは見てない。正直フッキー(ピーター・フック)抜きのニュー・オーダーなど見る気がしないから...というのは言い訳であって、もしサマソニに行ったのであれば、たぶん会場にかけつけただろう(変な話、ロジャー・ウォーターズ抜きのピンク・フロイドだって、ライヴそのものを体験したことはないけれど、ライヴDVDを見るとかなりいいと思えるし...)。まあ、単にプライヴェートな事情でサマソニ自体に行けなかったという(泣&笑)。

 今日ここで紹介するテキストは、この春、湘南でおこなわれたハシエンダ大磯フェスティバルのレポートだ。この夏、幸運にも今の(フッキー抜きの)ニュー・オーダーを目撃できた人はもちろんこと、そうでない人も、是非ご一読を...というか、原稿は数ヶ月前にあがっていたにも関わらずアップが遅くなってしまい、本当にすみません。すべて、ぼくの責任です(汗)!

 では、どうぞ!

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 ライヴレポとはライヴが終わってすぐに書かれるべきものなので、ライヴから2週間以上経って書かれたこれはライヴレポではない。回顧録みたいなものだ(編注:と筆者は言ってますが、紙媒体の場合、ライヴから1ヶ月くらいたってから書いたものも充分レポとして成立する。まあ、これはウェブ媒体ですしね...!)。

 ヴァクシーンズとは勢いだけで青春時代を駆け抜けるような瑞々しいラッド・バンドではなく、80年代ニュー・ウェイヴからブリット・ポップまでの由緒正しき文脈を持つ正統派のポップ・バンドである。フジロックとあわせて彼らのライヴはまだ2回しか観ていないが、そのステージはとても堅実で波がなく、まるで何年もツアーをやってきたバンドのような安定感がある。

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 08年に結成され、4月にファースト・アルバムを発表する男性2人女性3人の5ピース・バンド、ヘラジカ(Herajika)。彼らの音楽が持つ重要な要素は「聴き手が漠然と思い描いている音楽」の先を、まるで天気の話でもするように自然に鳴らすところにある。ロック、ヒップホップ、ワルツ、フォークなど、様々なジャンルの共通項となる「点」を射抜き、軽やかに音をステップさせることができるのは彼らの音楽的バックグラウンドの広さとともに、ポピュラー・ミュージックとして開けた音楽であることを雄弁に物語る。そして聴き手の「イメージとしての音楽」を少しずつ広げ、感覚を更新する。

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  2012年1月28日。場所は赤坂ブリッツ。そこで七尾旅人による《百人組手》というイベントが行われた。《百人組手》は、七尾旅人VSゲストという図式で次々と即興演奏が繰りひろげられるイベント。なにが起こるのか、当日になってみなけりゃわからないガチンコな企画です。今回のゲスト陣はザゼン・ボーイズ、近藤等則、坂田明、櫻井響、AFRA、飴屋法水、Chara、大友良英 オーケストラFUKUSHIMA&YOU!(「YOU!」は、一般参加した方たちのこと。客席最前列で楽器を持って演奏していました)といった面々。ご覧の通り、曲者かつ確かな実力を持った表現者が集結した。

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 ワイルドバード&ピースドラムという名の通り、ワイルドな男性ドラマーとヴォーカル&パーカッションを担当する美しい女性によるデュオ。途中で何度もスティックを飛ばしまくって落としてしまうワイルドバード(Wildbird a.k.a. Andreas)。エレクトロ音も混ぜながら一人何役もこなすピースドラム(Peacedrum a.k.a. Mariam)。ドラムと歌だけでない凄まじい音の共演を見せてくれた。


 エクスペリメンタルでありながらも不協和音にならず、見事に「音」として楽器を捉えている様は、まるでピアニストの絶対音感にも負けず劣らずの美しい響きになっていた。


 ATPに出たことがあるというのも頷けるダイナミックさは、どこかルインズやライトニング・ボルトをも彷彿とさせたが、ドラムセットとマイク以外は実に意外で個性的な楽器を使い、またきちんと曲として完成させているところが本当に面白い。

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「今の日本はとてもタフな状況だけど、今日は来てくれてありがとう。俺たちがタフだった時に支えてくれたのは、この美しい国のみんなだったよ。本当にありがとう」。そんな言葉だったと思う。ライヴの中盤でニッキーとショーン、サポート・メンバーの2人が舞台袖に下がり、ステージに一人残されたジェームスは静かにそう言って、アコースティック・ギターを手に取った。そして「This Is Yesterday」を静かに力強く歌い始めた。


『Nano-Mugen Fes. 2011』の2日目、約2万人の前でプレイしたマニックスが翌日の7月18日、一夜限りのスペシャル・ライヴを敢行した。会場となった新宿BLAZEのキャパはなんと800人。しかもフロント・アクトにはアッシュ(!)を起用。そして、終演後にはとびきりのサプライズも! 冒頭の言葉どおり、タフな状況にある僕たちに、タフな状況をくぐり抜けてきた男たちが最高のパフォーマンスを見せてくれた。

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 タイム・テーブルは当日発表、という洋邦混ざったフェスでは画期的なアジアン・カンフー・ジェネレーション主催のナノムゲン・フェス。


 客層は主にアジカン目当てだが、タイム・テーブルを知らされていないとあって昼のオープンから客入りはバッチリ。


 そんな中で洋楽最初のアクトとなるWAS。その前にアジカン・メンバーからこんなMCタイムが設けられた。


「洋楽、外国人ってなると急に固まる人いるよね。このナノムゲン・フェスにおいて金縛りは禁物ですから。皆さん盛り上がったら手を上げたりして下さいね」と、このような趣旨のご挨拶だった。


 そしてアーハの「テイク・オン・ミー」などが流され、続いて幕を開けたWASのステージ。一体そのアクトとは...?

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 2003年から行われ、一アーティストがプロデュースするフェスながら邦楽・洋楽、ベテラン・新人混合のラインナップを取り揃えることで、既にアジアン・カンフー・ジェネレーション・ファンだけでなく、多くのリスナーから信頼を得てきたNano-Mugen Fes。去年は、『The Orchard』リリース寸前のラ・ラ・ライオットを帯同して、各地それぞれの邦楽アーティストを迎えてツアー形式でのヴァージョンで行われ、フェスティヴァルではなかったので、2年振りに再び横浜アリーナで開催されるとアナウンスされた時は、多くのファンが昨年以上に「待ってました!」と思ったことだろう。


 それも、ウィーザーとマニック・ストリート・プリーチャーズの出演が決定した際には、全国のファンが格別、驚きを隠せなかったことだろうと思う。マニックスは、09年に出演がアナウンスされていたものの直前になって、出演中止の事態になっていたところのリベンジであるし、ウィーザーにいたっては「遂にアジカンもウィーザーを招致するまでに!」と喜び勇んだものだ。デビュー当時から、アジカンのメンバー、特にフロントマンの後藤正文は度々ウィーザーからの影響を公言してきたし、『君繋ファイブエム』をリリースした当時は、そのギター・ロック的なスタイルや両バンドのフロントマンがメガネを愛用していることなどを踏まえて「和製ウィーザー」なんて言葉でももてはやされていたものだ。アジカン・ファンの多くが、ウィーザーが自らの好きなバンドが敬愛して止まないバンドということを重々承知しているだろうし、彼らの出演には一層の期待を抱いたものだろう。


 それらの上に、後藤は3.11以降、チャリティー・バンド「HINATABOCCO」に参加したり、各メディアで原子力などへの懸念の呼びかけを重ねたり、未来新聞「THE FUTURE TIMES」誌を発行したりと特筆すべき活動をいくつも行ってきているだけあって、今回のフェスに対しての彼への意気込みや思いなども、絶大な期待を寄せられたことだろう。


 余談だが、会場ではアーティストの転換時間にファンからのリクエストが寄せられたアーティストのMVを大型モニターで映すことで、ラインナップを超えて邦楽、洋楽問わず幅広いアーティストに出会うことを促しているようだった。しかも、アジカン自身が選んだものではないにも関わらず、どのMVもセンスが良く、転換時も暇になる瞬間はなく、ワクワクし続けることができた。


 2デイズ公演の1日目(ねごと、ウィー・アー・サイエンティスツ、アッシュ、ザ・レンタルズ、アジアン・カンフー・ジェネレーション、ウィーザー)についてレポートしたい。

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 かつて<<輝くほどに不細工なモグラ>>(「クリスピー」)と自らを形容したモラトリアム・ナード青年だった彼らが、アリーナという場所で一つのショーを提示すること。しかも、純粋ゆえのフェイクを歌い切った『とげまる』というアルバムを中心に展開されること。それは、彼らのもつ「真摯な背徳」を最大限に活かし、アップビートな曲を基軸に構成されたセットリストでオーディエンスを熱狂とともに知らず知らずの内に共犯へと誘うことを見事に成功させてしまった。『とげまる』の「まる」の部分を示す「聞かせてよ」から始まり、アルバムと同じく「君は太陽」の<<理想の世界じゃないけど/大丈夫そうなんで>>という最上の背徳的甘美の一節で幕を閉じる本編を観ただけで、ナード男子であるまま世界と対峙してきた者の見せる、どこかで決定的に歪んだいびつながらも素晴らしいポップの世界であった。


 なお本記事は基本的に『とげまリーナ』ツアーで3日に及ぶ大阪公演の2日目にあたる7月15日の公演についてのライヴ・レポートであるが、僕は1日目である7月12日の公演も個人的に鑑賞していたので、その1日目も含めた上でレポートさせていただくことをご了承願いたい。

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 まさに「記録ではなく記憶に残る」バンドだ。

 この7月アタマ、終電後の深い時間にも関わらず超満員にふくれあがった代官山ユニットのフロアで、その神髄に少しだけふれることができたような気がする。

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 これまでの暖かな日差しの中で遊ぶ景色を過ぎ、夜の海の気怠さとその中での新たな想いを抱えた新作『アポリア』を引っさげての全国ツアー、ヴォーカル・ギターのフロントマン、クボケンジの地元でもある大阪での公演はチケットが早々にソールド・アウト。彼らの2年振りの勢いに多くのファンが詰め寄せていた。当日は期せずして、『アポリア』で鳴らされたような生暖かく気怠い天気だった大阪は、彼らの素朴ながらも強かなショーと同時に夏を迎えたようだった。

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 それまでも公言していた'80sポスト・パンクのエッセンスにヘヴィ・ロック的なド厚い音圧で、一心不乱に木々をなぎ倒して突き進む鈍獣のように、およそ30分の収録時間を、聴く者に直球で訴えるようでありながら同時に、どこかで安直な理解を欺こうともしているようなひねくれ気味の衝動でもってノンストップで突っ走る『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』がリリースされてから初めてライヴを行う日に(厳密に見れば、24時を過ぎているので日時は翌日にまたがっているものの)名古屋と大阪で2公演をこなした0.8秒と衝撃。。この後者、大阪公演を観る機会に恵まれた。

 ライヴ中のMCでソングライターのフロントマン、ヴォーカルの塔山忠臣は、自身が当日の午前中に東京でバイトをしていたことも明かしていた。まとめると東京でバイト→名古屋でイベントに出演→深夜~早朝の大阪でもライヴと、怒濤のスケジュールになっていたわけだが、その疲弊など一切感じさせない、バンドとしてのダイナミズム、シニカルなステージング、ニヒリズムを匂わせながらもそこから確かに感じ取れるインディーとしての感覚などが感じられる圧倒的なショーだった。

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 生の震撼や硬直が、経験的苦境がその中にまで及ばないこの場所、不気味な規範の抑圧からの避難を許すと人々が信じているこの領域においてさえも、反照しているならば、生とは今日、なんと根本的に混乱したものであることか。人々への約束が果たされるのは、彼らが期待するものを拒否することによってのみなのである。(T.W.アドルノ『新音楽の哲学』より)

 セカンド・フルアルバム『TRANSPERSONAL』を引き下げてのツアーの4箇所目となる京都公演に密着してきた。会場は京都でも老舗のクラブでもあるメトロ。名古屋、福岡、広島でも手応えはあったみたく、昼2時過ぎに入り、リハーサルから覗かせてもらったが、以前に自分が観たときよりも圧倒的にバンドのグルーヴが太くなっており、そして、何より力強さと色香が増していたのが特徴的だった。旧曲も勿論いいが、新譜の中でもリフが印象的な「Effectual Truth」やポップでクールな「You're Blind」辺りは特に肉体性を帯びて、再写されることで、よりくっきりと輪郭が立体性をもって浮かび上がって、聴こえた。何より、メトロそのものの音響も良く、バンド・メンバーたちも納得している様子だった。寝不足気味というKENTもコンディションも良さそうで、彼も大学時代を過ごした京都での公演ということもあって、柔らかにリラックスした印象も受けた。

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 最新アルバムにして、一つの長編小説である『真昼のストレンジランド』をリリースしたグレイプバインの大阪、彼らのホームタウンでの公演。それは、ストレンジランドへと誘うグレイプバイン主催のエクスカージョン(ショート・トリップ)であり、一つのお芝居であり、単なるエンターテインメントとしてのライヴ・ショーを超えた素晴らしい見世物でもあった。

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 まずは鴨田潤の新作『一』について紹介しよう。


 本作は、ラッパーであるイルリメが本名の鴨田潤名義でリリースした、自主制作CD-R『ひきがたり』に続くフル・アルバムとなる。


 鴨田自身の声と最小限の伴奏とで構成されたこのアルバムで描かれた風景は、日常的な出来事も、珍しい出来事もある。


 日常的な出来事では、部屋に引っ越してきた当日と出て行く前日の風景と心情を描いた「空部屋」(M-9)が、特別な出来事が起こらないのにも拘わらず聴き手に余韻を残す。また、恋人とのやりとりという同じモチーフでも、「昨日は、」(M-2)では恋人とのちょっとした諍いと仲直りを爽やかに描いている一方で、「無理問答」(M-4)では、気持ちは分かるけれども今はちょっと待ってという気持ちを"無理!"というフレーズを多用することでユーモラスに表現している。


 珍しい出来事では、朝のバスに現れた顔なじみのおかまをめぐる「おんなのおっさん」(M-5)が哀愁を漂わせつつ、主人公の視線が優しくも凛々しく、題材が題材なのに清々しい印象を残す。そしてアルバム最後の16分超の大作「プロテストソング」(M-10)が圧巻。久々に実家に戻った際に父親が若き日に吹き込んだカセットテープを見つけ、それを聞いた主人公と父親との交流を描く。この曲では父親の曲が曲中曲として歌われており、親子のやりとりに深みが出ている。


 共通しているのは、そこにいる主人公達がそれぞれに地に足の付いた行動を取っているところだ。過度にドラマティックにならず、出来事に対して真正面から真摯に向かっている。そのためか、聴き手は自然に主人公達の視線を共有することができる。


 強調したいのは、冒頭の「Magic Number」(M-1)。曲が始まると、鴨田のヴォーカルを重ねたコーラスが聞こえてくる。"魔法のような瞬間を 君が今 呼び寄せた"という歌詞、その"魔法のような瞬間"を体現するかのような、優しく儚いコーラス。対照的に歌詞部分のヴォーカルはラップのスタイルで、力強い。ごく私的な、しかし本人にとっては奇跡的な瞬間を描くこの曲が1曲目にあることで、私はこのアルバムの芯にある力強さが見えるように思った(余談も余談だけれど、アメリカのSF作家シオドア・スタージョンの『不思議のひと触れ』という短篇を連想しました)。

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 待ちに待ったアパラチックのライヴ・ショウ! 13日にもライヴを行ない、14日から25日まではエキシビジョンとして展示、そしてシメの2日間のライヴ・ショウを観てきたというわけだ。

 会場にはCubeと呼ばれる巨大な"ハコ"が用意され、その中にメンバー4人が入り、誰が誰だかわからないようにスクリーン映像を織り交ぜながら演奏する。まさに覆面バンドである。
 
 全員が全身シルバーの衣装をまとい、ガス・マスクのようなもので顔と頭を覆い、本当に誰が誰だか最初から最後までわからない状態。その髪型すらわからない4人が"ハコ"の中へ入っていくと、未発表曲も含めたたくさんの曲を披露。踊る客に写真を撮る客、座って観ている客と様々だった。
 
 特に良かったのは2日目で最後にプレイした「デッドビート」。これはもう筆者も大興奮で、一人で立って目立ちながら踊ってしまった。途中には「Hu-Ha!」のシャウトが耳に残るカンフーっぽい珍曲も。"ハコ"の中のメンバーもこのシャウトだけはカンフーの振り付けで皆を惹き付けた。

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 渋谷シネマライズの跡地に出来たライヴハウスWWWにて、東日本大震災復興支援イベント「WWW presents #restart」が開催された。「日常を再起動して復興を支援するプロジェクト」というコンセプトの下、26日(土)と27日(日)の2回に分けて行なわれた当イベントは、いずれも15時から18時半までというイレギュラーな時間帯。これは東京電力発表の「電力使用状況グラフ」に基づき、電力使用のピーク時間を避けて設定したものだという。なお、チケットの売上から諸経費を除いた収益の全額は、災害義援金として日本赤十字社に寄付する方式を取っており、会場、出演アーティスト、そしてオーディエンスの3者が共同で被災地を支援する形となる。
 
 この呼びかけに賛同し駆けつけたアーティストは、土曜日がCaravan、ジム・オルーク、前野健太とDAVID BOWIEたち、Predawn。日曜日がoutside yoshino(イースタン・ユース)、小田晃生、口口口、渋谷慶一郎。筆者は土曜日の回の(時間の関係でCaravanを除く)3アーティスト(+飛び入りゲスト)を観ることが出来た。

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 トラファルガー広場やバッキンガム宮殿など、ロンドンの中でも特に有名な観光スポットが存在するウェンストミンスター。その最寄りの駅であり、ロンドン中心部の鉄道ターミナル、チャリング・クロスの高架下にあるのが「HEAVEN」だ。ここはロンドンでも最も有名なゲイ・クラブで、曜日によってはノンケでも入場できる。最近は名所化し、普通のライヴも行なわれているのでアブナイ雰囲気は皆無。階段を下りて地下の入口を抜けると、恵比寿リキッド・ルームほどの広さのフロアに、すでに満員近いオーディエンスがひきしめあっていた。天井はとても高く、左右にぶら下げられた巨大なスピーカーからは下腹部を突くような低音がドーン、ドーンと鳴り響いている。サウンド・クオリティは申し分ないので、かなりの爆音だったが耳に障るような周波数はほとんど出ていなかった。

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 祝!I'll Be Your MIrror開催。発表された時から、錚々たるラインアップに心が震えた。ゴッドスピード・ユー! ブラック・エンペラー、ファック・ボタンズ、ダーティ・スリー、そして国内からはボアダムス、灰野敬二、ボリス等々。こんなにすごいバンドばかりが同じ日に、同じステージに上がるなんて。中でも僕はボアダムスと灰野敬二に注目。同じ国内にいながら、なかなかライヴに行くチャンスがなかったから絶好の機会だと思った。当日は快晴。暖かいくらいの陽気に、ますますテンションが上がる! 新木場に急がなくちゃ。


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 ロンドンの中心街から地下鉄で20分ほど北東へ向かった「Old Street」駅より徒歩10分くらいのところに、今回の会場「Hoxton Square Bar & Kitchen」はある。いわゆるイヴェント・スペースで、カフェ&レストラン、ギャラリー、小さめのライヴハウスなどが一緒になった、日本で言えば「渋谷アップリンク」のような場所だ。今夜はここで、モグワイのライヴが行なわれる。言うまでもなくモグワイはUKを代表するインストゥルメンタル・ロック・バンドであり、日本でも「恵比寿Liquid Room」や「新木場Studio Coast」を満員にしてしまうほどの人気と実力を誇っている。そんな彼らが、200人も入ればギチギチになってしまうようなハコに出演するのだ。

 実はこれ、2月中旬からベルファストの「Mandela Hall」を皮切りにスタートする彼らのUKツアーに先駆けた、言わば「リハーサル・ギグ」のようなもの。All Tomorrow's Partiesの粋なはからいによって実現したこの滅多にないチャンスにロンドンでは壮絶なチケット争奪戦が巻き起こり、あっという間に完売となったようだ(そりゃそうだろう)。地元に住む友人たちにも羨ましがられたこの一夜限りのショウを、幸運にも筆者は観戦することが出来た。

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ミューフレーミング・リップスヨンシーアジアン・カンフー・ジェネレーションアートスクールのライヴ・レポートをアップしました(上の「LIVE REPORTS」ボタンから入っていただければ、もしくはここから飛んでいただければ、全部つづけて読めます)!

原稿はずいぶん前に入稿されていたのですが、なかなかアップすることができませんでした。申し訳ありません。

このコーナーの記事は、これまで基本的に(事情によりライヴ写真が入手できないもの以外は)写真入りで掲載してきました。

しかしながら、ライヴ写真を入手したり掲載許可を得たり...という作業をしている時間が、現状なかなかとれないというのっぴきならない事情がございます。場合によっては比較的簡単に入手できるもののありつつ、「簡単に入手できたものは写真を掲載、そうでないものは写真なし」というのは、どうも心苦しい(紙媒体であれば、そうであっても大丈夫なレイアウトをおこなうことが比較的容易にしても...)。

というわけで、今後このコーナー、申し訳ありませんが、基本的に今後は「文字のみ」で進もうと思っております。

なお、これまでも図らずも結果的にそうなっていたのですが、ここであらためてお伝えしておきますと、ここに載る記事は(編集部からの「発注」でなく)コントリビューター諸氏の自発的ご提案によるものとなっております。

では、どうかお楽しみください!

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「artワンマンはパンクバンドばりに曲数が多い」。開演前にギターの戸高はTwitterにて、こうツイートしていた。確かに、そうだ。ART-SCHOOLのワンマンでは、20曲を超えることはほとんどで、時には30曲以上演奏することすらある。しかも、この時は10周年記念ライヴのセミ・ファイナルであり、フロントマンの木下のホームタウンでもある大阪公演だ。下記にセットリストを掲載したが、結果的には新旧織り交ぜた27曲がプレイされる長丁場となった。しかし、最終曲「ロリータキルズミー」まで確かな熱量を伴ったライヴだった。

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 新年1週目の週末の外気はとても寒い。梅田シャングリラ前の歩道を、何人ものファンがART-SCHOOLの一つの節目となるであろうツアーのファイナル・イヴを見届けようと長い列を形作っていた。

 開演時間の19時ちょうどくらいに、客席が暗転し、彼らのお決まりのSEが流れ出す。エイフェックス・ツイン「Girl/Boy Song」だ。メンバー4人がステージに現れると歓声があがる。が、いつもは曲の中程で止まるSEがほぼ全て流される。少し遅れて演奏された幕開けを飾る曲は、意外にも、新譜『Anesthesia』のタイトルトラックだ。鈴木の淡々した機械的なドラムから始まり、サビで一気に加速する。オープニング早々、戸高の鋭利なギターが心地良いが、本人は至って自然体でプレイしているようだ。MCを挟まずに「水の中のナイフ」「アイリス」と第1期の曲が続き、新譜からの「Siva」がプレイされる。しかし、どうやら、この時点では木下のボーカルがどこか不安定だ。この曲が終わった後に、MCからその真相が明かされる。「レッドブルを飲み過ぎて正直、気持ち悪いんですよ」と戸高が言うと、「俺さっき3杯飲んじゃったからね...」と木下。レッドブルの効用が仇に出たのか、少しスロースターター気味になってしまっていたようだ。

「久し振りに演る曲です」との戸高の言葉と共にプレイされたのは、「ガラスの墓標」。続けて「Diva」「サッドマシーン」がプレイされると、木下の声も温まり出し、どんどん勢いを増す。それに呼応するように、「Black Sunshine」「Outsider」などでは、前列のオーディエンスたちも腕を振り上げる。
 木下が「新年早々、こんな暗いバンド観に来ちゃっていいんですか...本当、暗い新年になっちゃいますよ...」と皮肉交じりのMCを炸裂すると会場も和やかに。相変わらず、10周年でもこういうところは変わらないバンドである。また、「ここ大阪は、あんまりイメージ無いと思うけど俺の地元で、住んでいた高校生の時までは一刻も早く抜け出したかった。鬱屈した生活を送っていて、東京に出て来れてせいせいしたけど、最近は丸くなってきて...。悪いところばっかでもないかなって...」とホームタウン公演特有の心境が吐露される。個人的な話で恐縮だが、僕も木下氏と同じく、大阪生まれの人間で、大阪や生まれ育った京都が苦手で、出て行きたい節が常にあったので、特に共感してしまった。「そんな過去の自分を想いつつ、ここからは憂鬱な曲が4曲続きますが...楽しんでください...」という言葉の後に演奏されたのは「僕が君だったら」「Lost Again」「into the void」「Loved」。特に「Loved」は、その静端な曲調が相まって、この日の陰のクライマックスと呼べるような雰囲気を醸し出していた。

 陰鬱メドレーの後に「爆笑MC何かしてよ」とふられても、リアクションに困る宇野を横目に「めっちゃおもんないやん!このシューゲイザー野郎!」と、宇野の着ている(シューゲイザーの文字と靴がプリントされた)オフィシャル・グッズをネタにしながら、地元だけあって関西弁を披露する場面も。本編クライマックスでは「ecole」でディアーハンター譲りといったようなニューゲイザー勢を彷彿させる甘美な轟音に酔ったと思いきや、「スカーレット」での鋭利なギターに切り裂かれ、「Under My Skin」の衝動が襲った。特に「あと10秒で」は、ラスト定番の曲ではあるが、今まで以上に確かな熱量に覆われており、この日の陽のクライマックスと呼べるような雰囲気を醸し出していた。

「Fade To Black」を終え、ステージを去ったメンバーをアンコールの拍手が追う。数分おいて、再び現れたメンバーは、戸高がビーズの物まねをしたり、それに対抗した木下が、適当にフジファブリック「バームクーヘン」を歌ったりと本編では出さなかった茶目っ気を披露したかと思うと、木下が忽然に「この会場で今、睡眠薬を持っている人はいないかな」とオーディエンスに問いかけ、所持しているファンを挙手させる。「眠れなくて...こういった部分も今年は全面に押し出そうと思ってて。。医者に予約した時が一番心が休まるんですよね...」と赤裸裸に吐露し、戸高も「『錠剤をくれよ』って歌詞あるもんね」と間の手を入れる。僕もマイスリーという入眠剤などを携帯していたが、ハルシオン(ディアーハンターの新譜、『ハルシオン・ダイジェスト』をもちろん想起するだろう)などを所持するファンに焦点が向いた。一連のMCの後にプレイされたのは、第1期からの選曲では珍しい「I hate myself」。かの流れの後だけあって、なんて皮肉なんだろう。「車輪の下」でメンバーがステージを後にしても、まだアンコールを求める声は止まない。

 ダブルアンコールにして最後の1曲として演奏されたのは、「ロリータキルズミー」。たどたどしいイントロで始まりはしたものの、この日一番の喚起と熱をもって演奏された。

 10周年を迎えたART-SCHOOL。彼らは自他ともに認めるライヴ・バンドであるが、この熱の収まるところはまだ訪れはしないだろう。


セットリスト

1. Anesthesia
2. 水の中のナイフ
3. アイリス
4. Siva
5. ガラスの墓標
6. Diva
7. サッドマシーン
8. Black Sunshine
9. Outsider
10. ウィノナライダーアンドロイド
11. イディオット
12. 欲望の翼
13. 羽根
14. Butterfly Kiss
15. 僕が君だったら
16. Lost Again
17. into the void
18. Loved
19. ecole
20. スカーレット
21. あと10秒で
22. Under My Skin
23. Fade To Black

Encore.1
1. I hate myself
2. Boy Meets Girl
3. 車輪の下

Encore.2
1. ロリータキルズミー

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《悲しみよ、此処に集まれ
/君だけに罪はないみたい
/踊るしかないや、夜明けまで》

(「ラストダンスは悲しみを乗せて」より)

 10年代に入ってからの彼らは「地上」と「地下」、「電子上」と「現実」を行き来するオルタナティヴな実験と大胆な提案を同時に進めた。先ずは、メジャー・レーベルに属している関係上、制約もされるだろう中でのボーカルとギター担当の後藤氏の積極的なツイッターの利用。それによって、すぐに神話的な要素を孕んでしまうアーティストという偶像性から「個」へ降りてゆき、内面や日々の他愛ない感情を吐露する所作は例えば、長尺の自らの来し方を話すインタビューなどで解析される自意識の尖りの先に別に音楽がそのままで設定されている訳ではない、という一部の潮流に対して明確なカウンターを示した。また、USTREAMを使ってツアーの一公演をリアルタイムで提供するという試みも有機的に働いたのも記憶に新しいところだろう。

 思えば、今年の新作『マジックディスク』というアルバムは、これまでのパワーポップを主体に置いた形式から、多様性に富んだ内容になっていた。独特のラップ的なラインが印象的な「新世紀のラブソング」、ホーンを入れたユーフォリックな高揚感がある「迷子犬と雨のビート」、ポスト・パンク的な意匠を持ったダンス・チューン「ラストダンスは悲しみを乗せて」、独白的な歌詞の意味が深く刺さる「さよならロストジェネレイション」など新機軸に軽快に歩みを進めた要素が増え、新しいアジアン・カンフー・ジェネレーション像の輻射を企図した。そこにはこれまでの作品群に必然的に孕んだ「みんなのため」に「絶望的な何か」を見つめる姿勢や「悲しみを背負う」というスタンスよりは、「自分はこう思っているけど、みんなはどう?」という投げ掛けのスタイルへの変化があったように思えた。集合的無意識が彼らを定義した窓枠から外れて、主客転倒を試みるように、逆説的にアーティスト側がファンやオーディエンスの個の一人ひとりに向き合ったと言えるのかもしれない。だから、それぞれのマジックディスクを募集したり、と、兎に角、「個」が持つ感情や想いのフックアップにも意識的であった。

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 彼らはメジャー・バンドとして大きいフェスを主催してしまうレベルでもあり、ホール・サイズでもフルハウスにしてしまうファンの信望も厚いバンドだが、今年は、敢えて意図的に「帝国概念の解剖」を試みようとしていたのはでないか、と個人的に思ってしまう。「帝国」を、恒常システムのパターンに含めて再定義し、分析概念として脱イデオロギー化を図ろうとする所作と換言できるだろうか。また、「例外としての帝国」から「常態としての帝国」へのパラダイム・シフトの背後にあるのは、世界の脱相対主義化である。相対主義は、他者への干渉を抑制する自己懐疑の規範であるが、「自由」などの価値の普遍性が疑われ得ない世界では、その機能は低下してしまうことになる。そこで、「帝国」の必然性が浮上する。だがしかし、その帝国について考えるための概念の嶮しさは必然ではない。では、アメリカ同時多発テロの際、当時のアメリカ大統領ジョージ・ブッシュが「新しい戦争」と言ったようなコンテクストで、非対称的な戦時下で音楽は何に向き合うべきなのか、を考えなければならないとしたならば、今、ライヴで繰り返し演奏される「新世紀のラブソング」はもはやポスト・セカイ、帝国概念の解剖の射程を睨んでいるとも言える部分はある。

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 今回のTour 2010-2011「VIBRATION OF THE MUSIC」の中でも小さいサイズに入るのだろうか、キャパ400人規模の酒蔵を改造した京都の老舗のライヴハウス磔磔(たくたく)で、彼らはまだ出たてのインディーバンドのような瑞瑞しさで愉しそうに演奏していた。実際、後藤氏(ライヴ後、"磔磔、最高だな。"とツイートしていた。)含め他のメンバーも楽しそうな表情が現場で見て取れた。フジファブリックの金澤氏もサポート・キーボードとして入っての5人体制でのライヴだったが、音響のバランスも良い訳ではない分、それが音自体のロウ(生)でラフな質感をダイレクトに示していて、曲の骨組みだけが鮮明に見える中で、既存の曲でも新発見があるものも少なくなかった。『マジックディスク』からの曲を主にしながらも、「Re:Re:」から「リライト」へ繋ぎ、「君という花」のイントロに雪崩れる磐石な後半パートもあり、終始、高い熱量が保持されていた。要所に挟まれたMCでもフレンドリーに皆に話しかけるように、自分のサラリーマン時代を振り返り、バンドと平行してやっていた時期に、直行でスタジオ練習しに行っていたこと、京都の三十三間堂には驚いたこと、仏像や土偶の話など、徒然に喋っていて、ここ(ステージ)とそこ(フロアー)の差もないかのような穏やかな空気があってまた良かった。

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 ライヴという場所は「生モノ」として部分もあるが、グレン・グールド独自の用語に「ノン・テイク・ツーネス(Non-Take-Twoness)」というものがあり、それを援用することもできる。「ノン・テイク・ツーネス」とはその字面通り、コンサートという場では演奏を「やり直す」こと、即ちテイク2を行うことができないことを表す言葉で、コンサートにおける演奏の一回性とほぼ同義であると考えてもいいかもしれない。しかし、この用語には一回性という用語よりも、「より否定的な意味合い」が込められている。より良い演奏を目指すためには幾つものテイクを重ねるということが不可欠であると考えていたグールドは、「テイク・ツーネス」をステージでも求めようとしていた。ライヴでふと表出する「通常の解釈」や「レコード録音されたもの」からは大きく外れているようなアレンジや一聴では間違いかも、と取られ易いインプロヴィゼーション。ここでの「誤解」を巡っての細かい機微はグールドとジョン・マックルーアとの対話『コンサート・ドロップアウト』に見ることができる。

 彼らの場合はロック・バンドだからという矜持もあるのだろう、「一回性」の音楽として「ノン・テイク・ツーネス」を恐れない。だから、ステージ上で臨機応変にアレンジを加え、自由に曲を繋ぐようにその瞬間の熱を大事にするという様は非常に刺激的だった。その様をアドルノがシェーンベルグに寄せた言葉を嚥下した上で定義してみるならば、同時進行の多重性に対する最も鋭い注意、次に何が来るかいつも既に分かっている聴き方という凡庸な補助物の断念、一回的な、特殊なものを捉える張り詰めた知覚、そして時折、ごく僅かの間に入れ替わる様々な「性格」と二度と繰り返されないそれらの「歴史」を正確に掴む能力などを、それ(ステージ)は要求していた、と言えた箇所があったのは紛うことない。

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 今回、まだ僕自身が彼らに根深く持っていた「断層」が少し埋まったように思うことができた一夜になった。その「断層」とは説明するに、ニーチェのルサンチマンという概念の「周縁」を廻っていたものだった。社会的弱者が抱く恨みや劣等感のような屈折した感情が社会への攻撃に向かうときに、運動や宗教という形ではなく、「人生に意味はない」というニヒリズムに行き着きがちな瀬に彼らの「弱者たちのための歌」の数々が僕にはどうにも面映かったのだ。しかし、《何もないです、それならそうで、拗ねていないで、この檻を出よう》(「さよならロストジェネレイション」)と歌う彼らはやはり、生真面目過ぎるロック・バンドであり、それ以上でも以下でもなかった。それが何故か個人的に、嬉しく思えた。

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 とにかく圧巻だった。まず驚いたのがメンバーの衣装。シガー・ロスでは見られない派手な格好は非常に目を惹き、スクリーンの映像にない赤を基調とした民族衣装に近いものをまとい、それをヨンシー以外にもパートナーのアレックスを含む全員が着ているという大変おしゃれなステージ。そして何よりもドラム。アルバム内の「ゴー・ドー」のドラムよりもっと激しいドラミングが終始観客をとらえ、ライヴならではの魅力を大いにみせてくれた。ステージでヨンシーとアレックスが絡むことはなく、ヨンシーはとにかくヴォーカリストに徹し、他のメンバーは全員がジョニー・グリーンウッドかのようにたくさんの機材を操り、特にドラマーが弓で木琴を弾くところは印象的。次にこのアーティストの最大の魅力、それがスクリーンによる演出。衣装と相反するダーク・トーンを基調とし、花や生物などを多く取り入れた夢のような世界を、最初から最後まで多く長くみせてくれたのだ。彼らの衣装もいっそう映えつつ、どちらも消さず強調される美しさ。そこに彼らの骨頂を感じる。ヨンシーはソロ・プロジェクトにおいて"アーティスト"であることを前面に出したかったのではないだろうか。シガー・ロスにおいてヨンシーはギター&ヴォーカルのフロントマンだけであって、彼個人のアーティスト性が見えるわけではない。楽曲、演出、背景、衣装、そのパフォーマンス全てにおいて完璧にアーティストである彼個人を、見せたかったのではないだろうか。そんな気がした至福の時間だった。

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 日本にハロウィンがやってきた。オレンジ色に染められたフレーミング・リップスのステージは、なんとスクリーンの女性器から出てくるという変態なパフォーマンスを見せ、更に彼ら特有の大量の紙吹雪と巨大バルーンの数々で、最初から最後まで大いに盛り上げてくれた。ステージにはメンバー4人のほか黒子ならず全身オレンジ子のスタッフが通り、一般から選ばれた全身オレンジ色のコスチュームを着たフレーミング・リップス・ダンサーズ(筆者含む...)が踊り、時にVo. のウェイン・コリンはメガフォンを使い、シンバルを叩き、ドラを鳴らし、飛び跳ねていた。G. のスティーヴン・ドローズも可愛い日本語でオーディエンスを沸かせた。

 前半の曲は日によって変わり、「ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ」や「イェー・イェー・イェー・ソング」などを披露。終盤ではライヴのハイライトとなる「レース・フォー・ザ・プライズ」をプレイ。「ヨシミ...」同様、ウェインがマイクをオフにして歌ったことによるオーディエンスの合唱が印象的だった。そして最後には「ドゥ・ユー・リアライズ?」。こちらも英語圏でないにも関わらずオーディエンスに歌わせたウェイン。実力派の彼らの大成功のライヴだったと言えよう。

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 この3日間のショウはフレーミング・リップスとのカップリング・ツアーで、前座のような形での出演となった。その為か、最終日はアンコールなしでの「コンフォーティング・サウンズ」での締めといういつもと少し違った演出ぶり。大阪では4thアルバムの曲を本編に持って来ずアンコールに2曲「スペシャル」~「ズーキーパーズ・ボーイ」と続けて披露したが、ベスト盤を意識してか若干バランスが良くなかったように思え、物足りなさを感じざるを得ない。東京では初日、いつものファンの為に過去一度もなかった「コンフォーティング・サウンズ」も「ルイーズ・ルイーザ」もやらないというイレギュラーなパフォーマンスで大いにオーディエンスを沸かせた。最終日にはお決まりのスタイルで、東京両日ともにプレイした4thアルバムからの曲を本編に持ってきて、エンディング曲を定番にすることで初めてのオーディエンスにも満足できる内容に仕上げていた。一番良かったのは個人的に17日。最終日に新曲を最後の曲の直前に持ってきたのに対し、自然に馴染むよう初めのほうに持ってきたことで全体の雰囲気やテンションも上がって途絶えることなく全編を披露してくれたことが嬉しい。ただ欲を言えばもう少し映像があっても良かったのではないか、前回より映像を減らしすぎたのではないかという点ぐらいだろうか。だが2月のツアーとは違いフレーミング・リップスを観に来たオーディエンスが多かった中、ミューという存在をきっちりと見せてくれていたと思う。

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photo by Takanori Kuroda

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photo by Mitch Ikeda

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 秋が終わり、既にそれなりの冷え込みをみせてきている12月のシアトルで、ヴェニューこそ違ったがマッドハニーとパフューム・ジーニアス(Perfume Genius)という2組のローカル・アーティストを同じ夜に観ることができた。グランジ世代の最大の生き残りバンドの一つと、今年の夏に突然現れた、そんなグランジの残り香をかき消すような素朴なアンビエントを同時に味わうことで、ここシアトルの街の今昔を生々しく感じることができた。そんな一夜をレポートしたい。

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 結論から言うと、すごくキラキラしていた。ヴォーカル/キーボードを務める蒼山幸子の声が出ていなかったことを考慮しても、彼女達が鳴らすロックは輝きに満ちていた。

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 ヴェニュー(ライヴ会場)に入った途端、度肝を抜かされてしまった。会場全体、ステージ上だけでなくオーディエンスのスペースまでも、深いスモークに包まれているのだ。目をこらしてステージをみると、背面に多数の金色のパラボラアンテナのような反射鏡がこっちを向いており、それが天井や壁に設置されている小さな紅いライトを照らされて怪しげな色彩を会場全体にもたらしている。一般的なライヴより、幾分に濃い人工の霧と不気味に光る人工の光によって、ブロンド・レッドヘッド(Blonde Redhead)がステージに現れる前から、既に妖艶な雰囲気になっていた。

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つい先日、ピッチフォーク・メディアから、ニュー・シングル「Heart In Your Heartbreak」のリリースを発表した、ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート。ニュー・アルバムのリリースは来年の2月前後ということも発表されており、それに際しての来日公演(は行われるのかはまだまだ不明だが、是非とも期待しておきたいところだ)に先駆けて、その「Heart In Your Heartbreak」や、今年、2月に行われた来日公演の後にリリースされた現時点での最も新しいシングル曲、「Say No To Love」をライヴで聴くことができた。

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スーパーチャンクとティーンエイジ・ファンクラブ。なんて素敵な2マンなんだろう。ご存知の方も多いだろうが、この両者の関係は、ティーンエイジ・ファンクラブの音源が、米国では、スーパーチャンクのフロントマン、マック・マクガワンがオーナーを務めるマージ・レコードからリリースされていることだ。もちろん、彼らの5年ぶりの新譜、『シャドウズ』も、マージ・レコーズからリリースされている。スーパーチャンクもティーンエイジ・ファンクラブも、数年振りのフル・アルバムをリリースしただけあって、オーディエンスの期待も底なしのようだった。その期待に十二分に応えたUS、UKのインディー・ギター・ロックの雄たちの一夜をレポートしたい。

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FRANKIE & THE HEARTSTRINGS: photo by Takeshi Suga

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こうふのまちの芸術祭とは、山梨出身・在住アーティストと市民とが協力して行っている芸術祭。曽我部恵一、そしてテニスコーツによるこのライヴは、そのイベントのひとつとして行われた。

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photos by Takanori Kuroda

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一度でも訪れた事のある方はご存知だろうが、シアトルは雨の多い都市である。一年のほとんどを霧雨に包まれて過ごすのが、シアトル・ライフだ。

そんなシアトルで、最も大規模なアート・フェスティヴァルであるBumbershootも現地の人によると「傘」を表す意味だそう。例年、世界各国から多数のアーティストを招き、雨の中で開催されるのが恒例のフェスティヴァルだが、今年は40周年を祝福してか、幸運にも3日開催の内の2日は晴れのち曇りで雨は降らなかった。その中でも、最も天気の良かった2日目についてレポートしたい。

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all photos by Toru Yamamoto

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photo by Takehiro Funabashi

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photo by Tiger Hagino

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photo by 小原泰広

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photo by Kenji Kubo

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photo by Kazumichi Kokei

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photos by Masato Hoshino

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 SPACE SHOWER TV presents『Sound Garden』

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ALL photos by Takeshi Suga

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photo by Shoichi Kajino

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現在「スタンディング」形式の会場をメインに日本をまわっているボブ・ディラン。彼の音楽、そして活動スタンスは、この2010年代に、ますますそのリアリティを増している。

実際、彼の大ブレイク目前(2007年)に、あのマーク・ロンソンに初の公式リミックスを...それも「Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)」という、いかにも象徴的なタイトルの曲をまかせた彼のセンスを、誰が「古い」などと言える?

クッキーシーンでは、あえて「ディランを語るにはまだ若い」とか言われそうな30歳の執筆者によるレポをお届けする。ディランの、そして彼の、決して消えることのないスピリットを感じてほしい。

*今回の公式ライヴ写真は、まだ入手不可能。右は1997年に来日した際の写真です。



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